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ID番号 09240
事件名 損害賠償請求事件
いわゆる事件名 富士機工事件
争点 知的障害学習障害を持つ労働者の自殺についての安全配慮義務違反が問われた事案(労働者敗訴)
事案概要 知的障害及び学習障害を持つ亡Aが自殺したことにつき、亡Aの両親である原告Xらが、亡Aを雇用していた被告Yに対し、亡Aの自殺はYによる障害への配慮を欠く対応等が原因であり、Yには雇用契約に基づく安全配慮義務違反及び注意義務違反があると主張して、債務不履行及び不法行為に基づき、原告Xら各自に損害金4012万9773円及びこれに対する遅延損害金の支払をそれぞれ求めた事案である。
参照法条
体系項目 労働契約(民事)/労働契約上の権利義務/(23)使用者に対する労災以外の損害賠償
裁判年月日 2018年6月18日
裁判所名 静岡地裁浜松支部
裁判形式 判決
事件番号 平成27年(ワ)452号
裁判結果 棄却
出典 労働判例1200号69頁
審級関係 確定
評釈論文
判決理由 〔労働契約(民事)/労働契約上の権利義務/(23)使用者に対する労災以外の損害賠償〕
 「Yが亡Aにとっての業務の加重性や心理的負荷を認識する契機となり得るものであったことは否定できないが、亡Aの自殺までプレス作業の実習開始から2週間、金型交換作業(段取り)の実習開始から1週間程度と短く、実労働日数でみるとさらに短いことに加え、前記(3)で認定したとおり、Yにおける亡Aの様子に特段変わったところはなかったことからして、これらの事実をもって直ちに、亡Aの業務が自殺を招き、あるいはうつ病等の精神疾患や精神障害を発症させ得る業務上の心理的負荷になることを、Aが予見すべきであったとは言い難」く、「Yには安全配慮義務及び注意義務の前提となる予見可能性があったとは認められない」。