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ID番号 09243
事件名 損害賠償請求事件
いわゆる事件名 ゆうちょ銀行(パワハラ自殺)事件
争点 パワハラを受けて自殺した労働者の相続人による損害賠償請求が争われた事案(労働者勝訴)
事案概要 被告Yの従業員であったBの相続人である原告Xが、Yに対し、BがYの他の従業員からパワーハラスメントを受けて自殺したと主張して、BのYに対する使用者責任又は雇用契約上の義務違反による債務不履行責任に基づく損害賠償金合計8189万2175円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める事案である。
参照法条 民法415条
民法709条
民法715条
体系項目 労働契約(民事)/労働契約上の権利義務/(16)安全配慮(保護)義務・使用者の責任
裁判年月日 2018年7月9日
裁判所名 徳島地裁
裁判形式 判決
事件番号 平成28年(ワ)21号
裁判結果 一部認容、一部棄却
出典 判例時報2416号92頁
労働判例1194号49頁
審級関係 控訴(後、和解)
評釈論文
判決理由 〔労働契約(民事)/労働契約上の権利義務/(16)安全配慮(保護)義務・使用者の責任〕
 上司のIおよびびJは、日常的にBに対し強い口調の叱責を繰り返し、部下に対する指導としての相当性には疑問があるといわざるをえないが、「部下の書類作成のミスを指摘しその改善を求めることは、被告における社内ルールであり」、「証拠上、IやJが何ら理由なくBを叱責していたというような事情は認められ」ず、「Bの人格的非難に及ぶものとまではいえないこと」、「他の者の業務に支障が出ないように静かにすることを求めること自体は業務上相当な指導の範囲内であるといえることからすれば、IやJのBに対する一連の叱責が、業務上の指導の範囲を逸脱し、社会通念上違法なものであったとまでは認められない」。したがってYの使用者責任を求めるXの請求には理由がないが、すくなくともBの上司であるHにおいては、「Bの体調不良や自殺願望の原因がIやJとの人間関係に起因するものであることを容易に想定できたものといえるから、Bの上司であるFやHとしては、上記のようなBの執務状態を改善し、Bの心身に過度の負担が生じないように、同人の異動をも含めその対応を検討すべきであったといえるところ、FやHは、一時期、Bの担当業務を軽減したのみで、その他にはなんらの対応もしなかったのであるから、Yには、Bに対する安全配慮義務違反があったというべきである。」