全 情 報

ID番号 10098
事件名 深夜業違反被告事件
いわゆる事件名 東陽タイル事件
争点
事案概要  満一八歳に満たない男子を深夜労働させたことが労基法六二条違反にあたるとして罰金に対して執行猶予を付した原審につき、軽きに失するとして原審を破棄・自判した事例。
参照法条 労働基準法61条
労働基準法119条1号
体系項目 年少者(刑事) / 未成年者の深夜労働
裁判年月日 1960年6月27日
裁判所名 名古屋高
裁判形式 判決
事件番号 昭和35年 (う) 240 
昭和35年 (う) 241 
裁判結果 破棄(自判)・有罪(罰金3,000円)
出典 労基判集2号953頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔年少者-未成年者の深夜労働〕
 よつて本件記録を精査し、原裁判所において取り調べたすべての証拠を検討すると、被告人Y1が被告人Y2株式会社(以下単に被告会社と略称する)工場長(事実上呼称されていたのに過ぎず職制上認められていたものではない)Aと共謀のうえ、した本件犯行(労働基準法六二条一項違反の行為)は、当時一八才に満たない被告会社男子労務者である原判示B外三名に対し、昭和三三年一〇月ころから生じた被告会社成人従業員数名の欠員の補充に替えようとして、指名のうえ、原判示のような完全な徹夜作業に従事せしめたもので年少者の福祉を害する行為として犯情軽からざるものがあること、被告会社は昭和三四年三月一二日労働基準監督官より年少者の深夜作業を含む労働基準法に抵触する六項目の違反行為を指摘され、これが是正を要請されながら、その後も同法違反行為を改めず、同年四月一三日再び労働基準監督官より年少者の深夜作業を含む同法に抵触する四項目の違反行為を指摘され、これが是正を確約せしめられたのにかかわらず、その翌日から本件犯行がなされており、しかも労働基準監督官から再三の右警告のあつたことは、被告会社社長Cはもちろん被告人Y1、Aも知悉していたこと、その他諸般の情状を考え合せると、原判決が被告人らに対し、各罰金三、〇〇〇円(被告人Y1に対しては罰金不完納の場合二〇〇円を一日に換算した期間労役場留置)いずれも二年間右刑の執行を猶予したのは量刑軽きに失し不当であると考えられる。従つて検察官の論旨は理由があり、被告人らに対する原判決は全部破棄を免れない。