全 情 報

ID番号 10177
事件名
いわゆる事件名 北海道鉱山事件
争点
事案概要  作業現場に監視者を付する等してこれに反抗すればいかなる制裁が加えられるかも知れないような気勢を示して一日一四時間にわたる出炭労働を行わしめたことが「強制」にあたるか否かが争われた事例。
参照法条 労働基準法5条
労働基準法117条
体系項目 労基法総則(刑事) / 強制労働
裁判年月日 1953年3月2日
裁判所名 旭川地
裁判形式 判決
事件番号
裁判結果
出典
審級関係
評釈論文
判決理由 〔労基法総則-強制労働〕
 被告人Yは右A礦業所に於て、労働者と共に飯場に起居しつつ、坑夫等の労働に関し、その監督使用につき事業主側の立場に於て被告会社のためにその実施に参加していた者であるところ、
 昭和二十六年一月頃被告会社が月産二千屯の出炭目標を樹てたが、その出炭目標は右礦業所の施設状況及び労働者数では到底不可能であつたため、被告人Yは不良な労働条件の下に於て労働者に過重な出炭割当を強要し、或は休暇を与えない等の方法によつて、右出炭目標を達成しようと企て、B、Cと共謀の上、
 昭和二十六年一月中旬頃右砿業所に於て、右飯場の労働者であつた坑夫D、E、F、G、H、Iに対し「この飯場は特攻班であるから、張り切つて仕事をして貰いたい。公休等も休まないで働いてくれ。若し、公休日に休むならそれ相当の待遇をするから。」と云いきかせ、或はその日の労働量について「この位の働きでどうする。明日は今日の分をとりかえせ。」と二時間乃至三時間に亘る説教を加え、更には作業現場に監視者を付し或は飯場内を監視し、これに反抗すればいかなる制裁を加えるかもしれないような気勢を示して右坑夫等に対し一日十四時間に亘る出炭労働を行わしめ、以て同人等の精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によりその意志に反して労働を強制したものである。