全 情 報

ID番号 10328
事件名
いわゆる事件名 清繁乃事件
争点
事案概要  芸妓に「泊」を命じ、同人が承諾を渋るのに対し種々の嫌みを言い、同人の意に反して「泊」をなさしめたことが強制労働にあたるか否かが争われた事例。
参照法条 労働基準法5条
労働基準法117条
体系項目 労基法総則(刑事) / 強制労働
裁判年月日 1949年12月21日
裁判所名 宇都宮地
裁判形式 判決
事件番号
裁判結果
出典
審級関係
評釈論文
判決理由 〔労基法総則-強制労働〕
 被告人は約十四年前から肩書住居に於てAと号する芸妓置屋業を営み来つたものであつて、昭和二十一年頃其の営業が許されなくなつた為表面上は芸妓下宿業と改称したのであるが、被告人方に於ては依然として芸妓との間に、所謂仕込みと称して芸妓に対し宿舎、衣服及食糧を支給して芸事を仕込み、芸妓の稼高は全部之を被告人に於て収受する契約又は所謂「わけ」と称して芸妓に対し宿舎及食糧を給し、芸妓の稼高の二分の一を被告人に於て収受する契約を結び、従来の芸妓置屋業と全く同一の芸妓雇入契約に基いて芸妓稼業を為さしめて来たものであつて、昭和二十三年五月芸妓B事C(当時十九年)を「仕込み」の契約の許に雇入れ、昭和二十四年一月頃から之を「わけ」の契約に変更し、引続き芸妓稼業を為さしめて居たところ、同年一月下旬頃から同年二月中旬頃までの間数十回に亘つて同市内のD及E旅館に於て遊興の客から被告人の許に、「泊」と謂われて居る芸妓の派出の申込を受けるや右Cに之を伝えてその承諾を得ることをせず擅に受諾して同人に所謂「泊」を命じ同人が承諾を渋るに於ては嫌みを申して、結局同人の意思に反して所謂「泊」を為さしめ以て不当の労働を強制したものである。