全 情 報

ID番号 10528
事件名 児童福祉法違反、労働基準法違反被告事件
いわゆる事件名 竹の家事件
争点
事案概要  芸妓置屋経営者が児童を居宅内に住み込ませ、料理店の求めに応じて遊客に奉仕させたことにつき、児童福祉法違反は成立するが、同人らの間には、「使用者と労働者」の関係が存在しないから労基法六三条二項違反は成立しないとされた事件。
参照法条 労働基準法63条2項
児童福祉法34条
体系項目 年少者(刑事) / 福祉に有害な業務
裁判年月日 1968年5月21日
裁判所名 千葉家木更津支
裁判形式 判決
事件番号 昭和42年 (少イ) 1 
裁判結果 一部認容,一部棄却
出典 家裁月報20巻11号219頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔年少者-福祉に有害な業務〕
 本件公訴事実中、被告人が昭和四二年四月六日から同年七月一五日までの間児童の福祉に有害な場所である君津郡大佐和町(略)料理店A外料理店約八カ所において、Bをして酒席に侍する業務に就かせたものであるとの点について案ずるに、前掲証拠に照らせば右の事実は認められるけれども、同じく前掲証拠によれば、被告人は料理店、旅館等の需めに応じ、Bを帯同して共に酒席に侍り、遊客に奉仕し、その支払う遊興代はその都度料理店等から交付される伝票と引換えに一〇日目毎にBの分をも含めて料理店等から一括支払を受け、その中から料理店等の手数料、組合費、Bとの契約に基づき自己の取得すべき看板料を控除して残余はすべてBに交付していたことが認められ、料理店等から受領した遊興代全額を一旦自己の所得とし、その中からBに一定額の賃銀を支払つていたというような事実は認められないから、被告人はBがその労働の対価である遊興代を取得するにつき、遊客ないし料理店等とBとの間の仲介の労を執つていたに過ぎず、被告人とBとの間には労働基準法に所謂「使用者と労働者」の関係は在存しなかつたものと認めるを相当とするから、被告人に労働基準法違反罪の成立する余地は存しないので、刑事訴訟法三三六条によりこの点については被告人に無罪の言渡をする。よつて主文のとおり判決する。