全基連[公益社団法人全国労働基準関係団体連合会]
Vol.336
全基連(http://www.zenkiren.com)
行政の動き

1.労使関係が「安定的」とする事業所は 81.9%/賃金福祉統計室

厚生労働省は、6月18日、令和元年(2019年)の「労使コミュニケーション調査」の結果を公表しました。

この調査は、労使間で意思を疎通するために採られている方法やその運用状況等、事業所側・労働者側の意識等の実態を明らかにすることを目的に5年ごとに行っており、常用労働者30人以上を雇用する2,999 事業所とそこで働く常用労働者3,288 人からの回答を集計したものとなっています。

それによると、労使関係についての認識では、事業所の81.9%が「安定的」としている一方で、労使コミュニケーションが「良い」と認識している労働者は60.5%となっています。

このほか、(1)事業所・労働者が労使コミュニケーションを重視する内容、(2)労使協議機関及び職場懇談会の有無並びに成果の有無、(3)企業内労働組合への加入状況等について取りまとめられています。

<厚生労働省の発表資料>
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/18-r01gaiyou08.pdf

2.HW経由の障害者の就職件数は103,163件/障害者雇用対策課

厚生労働省は、6月22日、令和元年度にハローワーク(HW)を通じた障害者の職業紹介状況等を公表しました。

それによると、障害者の新規求職申込件数は223,229件(対前年度比5.7%の増)に対し、就職件数は103,163件(対前年度比0.8%の増)に止まり、就職率(就職件数/新規求職申込件数)は46.2%で、対前年度差2.2ポイントの減となっています。

<厚生労働省の発表資料>
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_11992.html

3.外国人技能実習制度関係者に業務改善命令など/技能実習業務指導室

厚生労働省と法務省は、6月23日、監理団体として外国人技能実習生を受け入れていた1組合に業務改善命令を発し、3組合の許可を取消し、11実習実施者の技能実習計画の認定を取消したと発表しました。

それによると、改善命令を受けたA組合は傘下の実習実施者を適切に監査していなかったこと、許可を取消されたB組合は海外の送出機関との間で違約金を取り決めていたこと、C組合は入国後講習を認定計画どおりに行わなかったこと、虚偽の監査報告書を外国人技能実習機構に提出したこと、傘下の実習実施者への訪問指導を適切に実施していなかったこと、D組合は名義を貸していたことがそれぞれ処分の理由とされている。

また、11社の技能実習計画の認定取消の理由は、(1)労働安全衛生法違反で刑罰を受けたこと(3社)、(2)不法就労者を雇用したこと(1社)、(3)労働基準法違反で刑罰を受けたこと(1社)、(4)技能実習計画どおりに実習されていないこと(1社)、(5)技能実習計画どおりの賃金が支払われていないこと(3社)、(6)監理団体の実習監理を受けず、外国人技能実習機構の立入調査時に虚偽を答弁したこと、(7)人権侵害行為を行ったこととなっています。

<厚生労働省の発表資料>
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_11945.html

4.石綿による労災保険給付は1,206件/職業病認定対策室

厚生労働省は、6月24日、令和元年度の「石綿による疾病に関する労災保険給付などの請求・決定状況まとめ(速報値)」を公表しました。

それによると、令和元年度分の「労災保険給付」の請求件数は1,206件(石綿肺を除く)、支給決定件数は1,090件(同)で、請求件数・支給決定件数ともに、昨年度と比べやや増加しました。

なお、「特別遺族給付金」*の請求件数は42件、支給決定件数は22件でした。

*石綿による疾病で死亡した労働者の遺族で、時効(5年)によって労災保険の遺族補償給付を受ける権利が消滅した人には、「石綿による健康被害の救済に関する法律」に基づき、疾病発症が仕事によるものと認められた場合に支給される。

<厚生労働省の発表資料>
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_11938.html

5.過労死等の労災認定は725件/職業病認定対策室

厚生労働省は、6月26日、令和元年度の「過労死等*1の労災補償状況」を公表しました。

それによると、過労死等に関する請求件数は2,996件で、前年度比299件の増となっています。

また、支給決定件数*2は725件で前年度比22件の増となり、うち死亡(自殺未遂を含む)件数は前年度比16件増の174件でした。

*1「業務における過重な負荷による脳血管疾患若しくは心臓疾患を原因とする死亡若しくは業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡又はこれらの脳血管疾患若しくは心臓疾患若しくは精神障害をいう。」(過労死等防止対策推進法第2条)と定義されています。

*2令和元年度中に「業務上」と認定した件数で、令和元年度以前に請求されていたものを含みます。

<厚生労働省の発表資料>
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_11975.html

6.「労災保険特別加入制度*の対象範囲の拡大」についての提案・意見を募集中/労災管理課

厚生労働省は、6月29日、「労災保険制度における特別加入制度の対象範囲の拡大」を検討するにあたり、国民から提案・意見を募集すると発表しました。

これは、人々の働き方が多様化する中で、複数就業者が増加しており、その中には「労働者」以外の働き方で副業・兼業をする人もいることから、労災保険の特別加入制度の「対象範囲」や「運用方法」などを見直すための検討資料とするため、国民から広く提案・意見を募集することとしたもの。

第1回の募集期間は6月29日(月)から8月14日(金)まで。

*労災保険特別加入制度

労災保険制度は、本来は「労働者」の業務または通勤による災害に保険を給付する制度ですが、「労働者」以外の中小企業主や個人事業主など、その業務の実情や災害の発生状況などからみて、「労働者」に準じて特に保護することが適当であると認められる一定の方には、任意で加入を認めている制度です。

<厚生労働省の発表資料>
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_12091.html
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労働基準監督署による最近の送検事例

■送検事例

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労働安全衛生法違反
爆発・火災・その他
  1. 換気設備を設置せずに有機溶剤業務


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労働裁判例・判例

●外国人特別相談・支援室を開設/東京労働局

東京労働局(局長 土田 浩史)は、6月26日、外国人を雇用する事業主や外国人に対する労務管理、労働条件に関して、相談に応じ、支援等する「外国人特別相談・支援室」を、6月29日(月)から開設したと発表しました。

開設場所は、JR 四ツ谷駅前の「コモレ四谷」ビル14階の外国人在留支援センター内で、開設時間は平日の9:00~17:00となっています。

<東京労働局の発表資料>
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/content/contents/000672269.pdf

●長時間労働企業に労働局長が指導/東京労働局

東京労働局は、6月30日、労働基準法に違反する長時間労働を行っていた企業に、東京労働局長が指導したと発表しました。

指導した企業は、複数の事業場で1月あたり80時間を超える法定時間外労働が行われていた1社。局長から当該企業の代表取締役に、代表取締役の主導の下で傘下事業場すべての労働時間の状況を点検し、全社的な改善措置を速やかに講じることを求めました。

<東京労働局の発表資料>
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/newpage_00592.html
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各界など

●広範囲な「検査・追跡」の実施と若者を対象とした政策措置が必要/ILO

ILO(国際労働機関)は、2020年5月、「ILO 緊急報告: COVID-19と仕事の世界」第4版を発表しました。

それによると、WHO(世界保健機関)が推奨する新型コロナウイルスの「検査・追跡」の実施が労働市場にメリットをもたらすとするほか、若者が他の世代より新型コロナウイルスによる影響を大きく受けているとしています。

メリットとしては、労働時間の減少を50%程度食い止めるとされ、「検査・追跡」の実施率が高い国々では労働時間の減少幅は平均7%と推定されましたが、実施率の低い国々では約14%になっているとしています。

また、「検査・追跡」の普及により、

(1)各国は厳しい制限政策への依存を減らせ、措置に伴う経済的負担を軽減できる

(2)経済的活動に必要な国民の信頼を生み出し、維持することに役立ち、消費と生産の双方でパンデミックの影響を和らげられる

(3)職場の閉鎖を最小限に抑えられ、予防措置、労働者のシフトや病気休暇の代替の調整、業務の継続性を維持し易くするなど企業が職場活動をより効果的かつ安全に組織化できる

としています。

また、「ロックダウン世代」が出現する可能性があり、若者(15~24歳)は、

(1)教育と訓練の中断

(2)失業や倒産の高まりによる収入と雇用の減少

(3)求職や転職の際の大きな障害の出現

により、新型コロナウイルス危機の影響を他の世代と比べて大きく受けているとしています。

<発表資料>
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2020/06/ilo_02.html

●労働時間の減少と賃金への影響/JILPT

独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)は、6月18日、そのホームページに、「労働時間の減少と賃金への影響─新型コロナ「第一波」を振り返って」と題する調査分析レポートを公表しました。

これは、新型コロナウイルス感染拡大の仕事や生活への影響に関する調査*」5月実施、連続パネル個人調査。JILPT・連合総研 共同研究)の個票を用いて、新型コロナウイルス「第一波」によって誰の労働時間が減少したのか、その際、労働時間の減少と賃金の減少がどの程度結びついていたのかを分析したものです。

その結果、「第一波」の中で、「飲食店、宿泊業」などの幾つかの産業で労働時間が集中的に失われたこと、男性より女性の労働時間が失われたこと、パート・アルバイトや派遣労働者、中小企業労働者では労働時間の減少が賃金の減少にストレートに結びつきやすいことなどが明らかになったとしています。

*インターネット調査会社のモニター登録会員のうち、2020年4月1日時点で国内に居住する20歳以上64歳以下の、「民間企業で働く雇用者」と「フリーランスで働く者」に配信。調査期間は2020年5月18~27日。同調査のへの回答者のうち、4月1日時点で民間企業に雇用されており、調査時点でも引き続き同じ会社に勤めていた4,178名(「就業構造基本調査」に基づき、性別×年齢層×居住地域ブロック×正・非正社員別に層化割付回収)である。

<調査分析レポート>
https://www.jil.go.jp/researcheye/bn/037_200618.html

●トラック荷台からの転落を防ぐために/労働安全衛生総合研究所

労働安全衛生総合研究所は、そのホームページに、「陸上貨物運送事業におけるトラック荷台からの転落を防ぐために~荷台昇降設備・装備はありますか?」と題するリーフレットを公開しました。

このリーフレットは、陸上貨物運送事業の労働災害は、その7割が荷役作業中に発生し、その中でもとりわけ多いトラック荷台等からの墜落・転落の発生状況を分析した結果、災害が集中して発生していることが明らかになった荷台昇降時に焦点を当てて作成されています。

<トラック荷台からの転落を防ぐために>
https://www.jniosh.johas.go.jp/publication/houkoku/houkoku_2020_02.html

●「働く人に安全で安心な店舗・施設づくり推進運動」のリーフレットを制作/中災防

中央労働災害防止協会は、そのホームページに、「働く人に安全で安心な店舗・施設づくり推進運動」のリーフレットを公開しました。

<働く人に安全で安心な店舗・施設づくり推進運動>
https://www.jisha.or.jp/campaign/tenpo_shisetsu/pdf/tenpo_shisetsu_leaflet.pdf
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◎「わかりやすい 非正規雇用関係法の手引」
 編著 「非正規雇用実務研究会」代表 栩木 敬(元大分労働局長)

 (新日本法規出版/1,140頁/定価(本体13,500円+税)/H30.5.1発行)

■非正規雇用労働者の雇用管理に欠かせない法律解説書。加除式書籍として最新の法改正等に逐次対応。
 第1編から第3編では、「労働契約法」「パートタイム労働法」「労働者派遣法」を条文ごとに、趣旨や解釈のポイントを図表も交えて解説するとともに、参考となる通達や判例・裁判例を紹介しています。また、実務上の疑問に答える「ケーススタディ」や、関連する労働基準法などの知識を解説する「ここもチェック!」を随所に掲載しています。
 第4編では、「育児・介護休業法」「男女雇用機会均等法」など非正規雇用に関連する法律を幅広く取り上げ、制度と適用等の概要をわかりやすく解説しています。
 「労働契約法」「パートタイム労働法」「労働者派遣法」を含む「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」が可決成立しましたが、加除式書籍の特徴を生かし、今後、施行期日等を勘案しつつ、関連情報を更新していく予定です。

◎「詳解 労働法」
水町 勇一郎(東京大学社会科学研究所教授)著

 (東京大学出版会/1,432頁/定価(本体7,800円+税)/R1.9.25発行予定)

■本書の特徴は、第1に、さまざまな形で展開される労働法の実務を広く射程に入れた専門書であることです。本書は、労働法についてある程度知識や経験をもっている実務家(弁護士、裁判官、政策の企画立案者、社会保険労務士、企業の人事労務担当者、労働組合役員など)と研究者(労働法研究者など)を読者として想定し、労働法の実務の世界で生起するさまざまな問題やそれにかかわる論点を広く専門的に考察しています。第2に、単に労働法の実務的な解説書ではなく、労働法の背景にある歴史と理論に根差した本であることです。今日の労働法の背景・基盤にある歴史的な経緯・成り立ちや理論的な考え方・筋道をできる限りわかりやすく叙述され、労働法の歴史・理論と実務との結びつきを意識しながら、今日の労働法をめぐるさまざまな問題が詳しく論じられています。

◎「森井博子が解説!建設業の労基署対応」
森井 博子(森井労働法務事務所所長)著

 (日本法令/241頁/定価(本体1,800円+税)/H30.9.20発行)

■著者は、愛知・神奈川・山梨・東京の各労働局に勤務し、東京労働局の要職を務め、池袋労基署長を殿に退職した元労働基準監督官(公募12期)。著書に「労働基準関係法事件ファイル」(共著・日本法令)、「労基署がやってきた」(宝島社)「The検証!労働災害事件ファイル」(共著・労働調査会)ほかがある。
■5年間の猶予期間があるものの、労働時間の上限が罰則付きで規制されたことや、元々、建設業の現場代理人の過重労働が話題になっていたことに加え、震災復興、東京オリ・パラによる工事増と人手不足、新国立競技場の現場監督の過労自殺などを受けて、労働基準監督官による建設現場への監督指導の重心が、安全衛生の確保から労働時間に移っているといわれ、これまでとは違った行政の動きに、現場関係者の間には戸惑いが広がっています。
■本書は、監督官としての多く、長い現場経験やその後の建設業の労働災害防止活動に関わった筆者が、行政の動きと業界の動きなども見ながら、「働き方改革」と「過重労働対策」に、建設業がまさに“今”、どうやって取り組まなければならないのかを解きほぐしています。

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