ID番号 | : | 00023 |
事件名 | : | 解雇無効確認等請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 京阪神急行電鉄事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 組合役員に対する、就業時間中の他の職場への立入り行為等を理由とする解雇につき、政治的信条を理由とするものと主張された事例。(棄却) |
参照法条 | : | 労働基準法3条 |
体系項目 | : | 労基法の基本原則(民事) / 均等待遇 / 信条と均等待遇(レッドパージなど) |
裁判年月日 | : | 1958年7月12日 |
裁判所名 | : | 大阪地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和28年 (ワ) 1344 |
裁判結果 | : | |
出典 | : | 労働民例集9巻4号408頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 第四、信条による差別待遇の存否について 原告は、本件解雇は原告が共産党員であることを理由にしてなされたものであって、憲法並びに労働基準法に違反して無効であると主張するので判断する。原告が当時日本共産党員で被告会社本社細胞の一員であったことは原告本人訊問の結果に徴し明らかであり、弁論の全趣旨から、本件解雇は、昭和二五年五月以降数次にわたってマッカーサー司令官から発せられた声明、書簡に基因して新聞通信社をはじめ漸次各重要産業においてなされた集団的解雇即ちいわゆるレッドパーヂと称せられる一連の解雇であることがうかがわれ、証人Aの証言によると、被告が原告を含めて本件解雇の対象とした三二名は、共産党員又はその同調者であった事実が認められる。しかし乍ら、証人Bの証言によりその成立を認めうる甲第二八、二九号証によれば、当時被告会社の従業員で日本共産党員であったCは解雇されることなく昭和三一年当時も尚被告会社に勤務している事実が認められ、更に成立に争のない乙第三号証の一、証人Aの証言、及び前記第二(解雇基準該当性について)において認定した原告の行為を考えあわせると、被告会社が原告を解雇したのは、結局は原告において第二で認定した様な基準該当行為があったため、原告等の破壊的活動から企業を防衛する目的でなされたものであって、原告には前記のとおり解雇すべき具体的事由があり、被告が単に原告の政治的信条を理由として解雇したものではないことが認められる。而しておよそレッドパーヂなるものは、それが真実に企業に対する積極的撹乱者に対し防衛的立場からなされたものであって、便乗的に信条による差別待遇をしたものでなく不当労働行為にも当らないならばこれを無効とすべき理由はない。してみるとこの点に関する被告の主張は採用できない。 |