ID番号 | : | 00028 |
事件名 | : | 雇用契約存在確認等請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 全駐労埼玉地区本部キャンプ所沢支部事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 保安解雇された労働者が右解雇を不当労働行為であるとして、雇用関係存在確認等を請求した事例。(請求棄却) |
参照法条 | : | 労働基準法3条 |
体系項目 | : | 労基法の基本原則(民事) / 均等待遇 / 信条と均等待遇(レッドパージなど) 解雇(民事) / 解雇事由 / 保安解雇 |
裁判年月日 | : | 1960年12月26日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和33年 (ワ) 1776 |
裁判結果 | : | |
出典 | : | 労働民例集11巻6号1468頁/訟務月報7巻1号95頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔労基法の基本原則―均等待遇―信条と均等待遇(レッドパージなど)〕 原告が日本共産党東京都豊島区委員会の構成員であることを、原告の保安解雇を被告に対して要求するにあたって考慮の中に入れたものであったとしても、すでに明らかにしたように原告に対する保安解雇の理由は、附属協定第一条a項(3)号該当の事実、すなわち原告が軍の保安に直接的に有害であると認められる政策を継続的にかつ反覆的に採用しもしくは支持する破壊的団体または会の構成員と軍の保安上の利益に反して行動をなすものとの結論を正当ならしめる程度まで常習的にまたは密接に連携しているものであるというにあるのであるから、たとえ日本共産党東京都豊島区委員会が右保安解雇の基準にいわゆる破壊的団体または会に該当し、原告がその構成員であるとされたものであるとしても、単にその事実のみを理由として軍が原告の保安解雇を被告に要求したものとは考えられず原告の軍に対する保安上の危険となるべき行為が軍の右要求の決定的な根拠となったものとみるべきである。そうだとすれば、右要求にもとづいてなされた被告の原告に対する保安解雇の意思表示が原告の思想、信条のみを理由としたものとはとうてい認めがたく、従って右解雇の意思表示をもって日本国憲法第二一条および労働基準法第三条の各規定に違反する無効のものであるとする原告の主張は排斥を免れないものといわなければならない。 〔解雇―解雇事由―保安解雇〕 さて叙上のような手続にかんがみるときは、被告がその雇用する駐留軍労務者に対して行う保安解雇においては、解雇理由の存否に関する認定についての最終の権限は軍に留保されているのであって、被告は軍から要求された以上、当該労務者にたとえ解雇の理由がないものと考える場合であっても、必ず保安解雇の意思表示をしなければならないのである。そしてこのことは、駐留軍労務者を直接使用する立場にある軍にとって、その保安を維持する見地からいってまことにやむを得ない方策であるというべきである。してみると被告が所定の手続に則ってその雇用にかかる駐留軍労務者に対してした保安解雇の意思表示は、たとえその解雇の理由について被告が確証を挙げることができない場合であっても、そのことのために無効であるといい得ないことは明らかであり、右に反する見解に立脚する原告の前記主張は採用するに足りない。 |