ID番号 | : | 00030 |
事件名 | : | 仮処分申請事件 |
いわゆる事件名 | : | 中村製菓事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 企業整備に基づく人員整理で解雇された労働者が、右解雇は不当労働行為であり又思想信条に基づくものであり無効であるとして、地位保全を申認した事例。(申請認容) |
参照法条 | : | 労働基準法3条 労働組合法7条 |
体系項目 | : | 労基法の基本原則(民事) / 均等待遇 / 信条と均等待遇(レッドパージなど) |
裁判年月日 | : | 1961年12月20日 |
裁判所名 | : | 福岡地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和36年 (ヨ) 269 |
裁判結果 | : | |
出典 | : | 労働民例集12巻6号1085頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | 慶谷淑夫・季刊労働法45号124頁/萩沢清彦・労働法学研究会報493号1頁/紋谷暢男・ジュリスト273号93頁 |
判決理由 | : | 会社の製菓部門に申請人より勤続期間が長く、かつ、作業技術の劣る従業員が、解雇されることなく勤務している事実、及び、前述のとおり、会社の主張する申請人に対する具体的な解雇理由が、前記の見習期間の終了の点を除き肯定し得るものではない事実などを考えあわせると前記の会社主張の見習期間終了(前記理由中(四)の(イ))の点の如きは単なる口実にすぎず会社は、右申請人を含む民青グループの抱く共産主義的思想、及びそのグループの労働組合結成計画を嫌い、本件人員整理を機会に、これ等の者を会社から排除しようと計り、少くとも申請人については、これを決定的理由として、解雇を為すにいたったことを推認するに難くはない。前掲疎明資料中右認定に反する部分は措信できず、他にこの認定を覆えすに足る疎明はない。 そうすると、解雇権濫用の点は判断するまでもなく、申請人に対する本件解雇は、人員整理を為すにあたって、申請人が労働組合を結成しようとしたことを理由に特に差別的に不利益に扱ったものとして労働組合法第七条第一号に禁ずる不当労働行為に該当し、同時に、申請人の信奉する共産主義思想を理由に、特に他の従業員と区別して差別待遇したものとして労働基準法第三条にも違反する無効のものと解すべきである。 |