ID番号 | : | 00063 |
事件名 | : | 解雇予告手当金請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 渡辺倉庫運送事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 労働組合と被告会社との間の労働者供給契約に基づき被告会社に供給され約一〇年にわたり就労してきた原告が、供給人員の減員に伴い供給人員の人選にもれ被告会社で就労することができなくなったため右就労停止は解雇にあたるとして予告手当支払を求めた事例(棄却)。 |
参照法条 | : | 職業安定法5条6項 職業安定法44条 職業安定法45条 |
体系項目 | : | 労基法の基本原則(民事) / 労働者 / 供給労働者 |
裁判年月日 | : | 1986年3月25日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和60年 (ワ) 6691 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | 労働判例471号6頁/労経速報1253号11頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | 松尾邦之・労働法律旬報1153号48~49頁1986年10月10日 |
判決理由 | : | 三 ところで、法は、労働者供給事業による労働者の供給とは「供給契約に基いて労働者を他人に使用させることをいう」(職業安定法五条六項)と定め、これを「求人及び就職の申込を受け、求人者と求職者との間における雇用関係の成立をあっ旋する」(同条一項)ところの職業紹介とは明確に区別している。すなわち、法は、労働者供給契約に基づいて供給された労働者と供給先との関係を通常の雇用関係とは異なる性格のものと位置づけているのであって、その事業主体を労働大臣の許可を受けた労働組合に限定することにより、労働者供給事業の存在とそこから供給される労働者の使用を認知しているのである(同法四四条、四五条)。 そして、前記認定事実に照らせば、労働者供給事業の存在意義は、これを利用すれば、使用者は高い賃金を支払うのと引き換えに、必要なときに必要なだけ一定水準の労働力の供給を受けられることにあるものということができる。また、労働者としても、自己の労働力の処分を労働組合にゆだねることによって、就労の機会を広く確保し、就労先のいかんを問わず一律の高い賃金を得ることができることになるから、特定の事業所との使用関係の継続を期待するだけの理由もない。 したがって、労働者とこれを使用する者とが労働者供給事業を利用して就労し、労働力の供給を受けるという関係にある限り、使用する側の必要性がなくなれば、その関係も終了することが本来的に予定されているものといわなければならない。たとえこの使用関係が長期にわたって反復継続されたとしても、そこに通常の雇用関係の成立を認め、その打切りに解雇の法理を持ち込むことは、当事者の意思に反するであろうし、労働者供給事業の存立の基盤を揺るがすことにもなる。 |