ID番号 | : | 00067 |
事件名 | : | 地位保全仮処分申請事件 |
いわゆる事件名 | : | 宝酒造事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 会社の人員整理に際し、再三の退職勧奨を拒否していた従業員が解雇されたのに対し、右解雇は解雇権濫用にあたり無効である等として地位保全等求めた仮処分申請事件。(申請却下) |
参照法条 | : | 労働基準法7条 |
体系項目 | : | 労基法の基本原則(民事) / 公民権行使 / 公民権行使と休職・解雇 解雇(民事) / 整理解雇 / 整理解雇基準・被解雇者選定の合理性 |
裁判年月日 | : | 1969年3月7日 |
裁判所名 | : | 長崎地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和42年 (ヨ) 165 |
裁判結果 | : | |
出典 | : | 労経速報674号3頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔労基法の基本原則―公民権行使―公民権行使と休職・解雇〕 労働基準法第七条は「使用者は、労働者が労働時間中に公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合においては拒んではならない。」と規定しているけれども、同規定は使用者に対して労働関係の存在を前提として、公職執行に必要な時間を与えることを拒むことを禁止するにとどまり、労働者が公職についたため、使用者の立場からその労働関係が維持できなくなったことを理由としてこれを解雇することまで禁ずるものではなく、その上本件はすでに認定したように整理解雇であって、公の職務執行そのものを解雇原因とするものではないので本件解雇は同条にも違反しない。 〔解雇―整理解雇―整理解雇基準〕 (二)労働組合と協議の結果決定された前示整理解雇基準は、いずれも、企業の能率的運営のための必要性と労働者相互の利益を公平に顧慮した、合理的なものであり、(三)申請人は右整理解雇基準の (中 略) (ロ)勤務成績の思わしくない者(ただし、質的な点より量的な点、たとえば出勤日数等を重視すること) (ニ)別途収入があり、退職しても一般の人より比較的生活に困らないと思われる者、 (中 略) に該当し、かつ(四)人員整理を必要とする員数六二六名から前示整理解雇基準該当者としての指名によらない希望退職者九四名を控除しても、右人員整理を必要とする残存員数は五三二名となるので、会社は人員整理の必要性の枠内で申請人を含めた四六〇名の該当者を選んでこれを退職させることにしたものであり、ただ申請人に対しては、申請人が会社の退職勧告に応じなかったため、会社において労働組合との間の協議の結果定められた方法により、これを解雇したものであることが明らかであるから、他に特段の事情のないかぎり本件解雇は有効であるといわなければならない。 |