ID番号 |
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00068 |
事件名 |
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地位保全仮処分申請事件 |
いわゆる事件名 |
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森下製薬事件 |
争点 |
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事案概要 |
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町議会議員に当選したことを理由として使用者がなした休職処分(無給)及び配置転換命令につき、労働基準法七条に違反し無効であるとして、従業員としての従前の地位の保全を求めた仮処分の事例。 |
参照法条 |
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労働基準法7条,2条,89条1項9号 |
体系項目 |
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労基法の基本原則(民事) / 公民権行使 / 公民権行使と休職・解雇 |
裁判年月日 |
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1980年10月17日 |
裁判所名 |
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大津地 |
裁判形式 |
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決定 |
事件番号 |
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昭和54年 (ヨ) 97 |
裁判結果 |
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一部認容 一部却下(異議申立) |
出典 |
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労働民例集31巻5号1026頁/時報985号123頁/労経速報1072号21頁 |
審級関係 |
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評釈論文 |
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松田保彦・判例評論269号38頁 |
判決理由 |
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労働基準法七条本文(使用者は、労働者が労働時間中に、選挙権その他公民としての権利を行使し、又は公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合においては、拒んではならない。)は、労働者の労働時間中における公民権の行使を実質的に保障しており、右規定の置かれた趣旨及びその意義並びに右規定に違反する使用者の行為に対しては罰則が定められていることからすると、使用者において、労働者が労働時間中に公民権行使に要した時間について無給としたり、賞与等の計算に当って右時間を勤務していないものとして取扱うことなどは現に右時間は労務を提供していないものであるうえ、労働基準法等において右時間を有給とする旨定めていないことからして同法に抵触するものではないが、その行使例えば地方議会議員への就任ということだけを理由として、当該労働者を、解雇、休職その他の不利益処分に付することは許されないものと解するのが相当であるが、労働者が公共団体の公務員に就任したことによって労働契約上の義務を遂行することが困難となり、使用者の業務遂行が阻害されるような場合にあっては、このことを理由として、使用者が当該労働者に対し、右阻害の程度に応じて、解雇したり、休職としたりすることはなんら前記公民権行使を保障した規定に抵触するものではなく、許容されるものと解するのが相当である。 |