ID番号 | : | 00069 |
事件名 | : | 仮処分異議申立事件 |
いわゆる事件名 | : | 森下製薬事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 町会議員就任が就業規則、労働協約所定の特別休職事由にあたるとして特別休職処分に付されるとともに本社への配転命令を受けた従業員が、右処分は労働基準法七条等に違反し無効であり、右処分を前提とする配転命令も無効であるとして右処分の付着しない、かつ配転前の職場の従業員としての地位保全等求めた仮処分申請事件の異議事件。(異議認容、労働者敗訴) |
参照法条 | : | 労働基準法7条,2章 |
体系項目 | : | 労基法の基本原則(民事) / 公民権行使 / 公民権行使と休職・解雇 休職 / 事故欠勤休職 |
裁判年月日 | : | 1983年7月18日 |
裁判所名 | : | 大津地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和55年 (モ) 430 |
裁判結果 | : | 一部取消(控訴) |
出典 | : | 労働民例集34巻3号508頁/労経速報1161号3頁/労働判例417号70頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔労基法の基本原則―公民権行使―公民権行使と休職・解雇〕 ところで、労働基準法七条は、労働者が労働時間中に公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合には使用者はこれを拒んではならない旨を定めているが、これは正常な労働関係を前提としたうえで労働契約上の債務の履行と労働者の公的活動との調和を図る趣旨のものであるから、労働者が公の職務を執行することにより使用者の立場から正常な労働関係が維持できなくなるような場合に当該労働者を休職とし(たとえ、その期間中無給であるとしても)、ひいては解雇することまで禁止するものではないと解するのが相当である。 〔休職―事故欠勤休職〕 右の諸規定を合理的に解釈すると、債務者における特別休職制度は、解雇猶予措置と考えられる事故休職の制度とは明確に区別され、少なくとも右休職事由(1)ないし(4)に関する限り、従業員が長期にわたって継続的または断続的に職務を離れるため、当該従業員を働かせても労働契約上の債務の本旨に従った履行が期待できず、業務の正常な運営が妨げられることになる場合、人事管理上の必要から、右職務離脱の期間、労働契約は存続させるが、労働の義務を消滅させてその間の賃金を原則として無給とし、職務復帰が可能となれば原則として復職させることとし、その間の身分上の取扱いを休職ということにして暫定的に確定することを目的としているものと考えられる。そうすると、就業規則二二条二項および労働協約六三条二項では公職に就任したときはそれ自体で休職とする規定の仕方になっているが、公職に就任した従業員を特別休職にすることができるのは、従業員が公職に就任したため長期にわたって継続的または断続的に職務を離れることになり、当該従業員を働かせても労働契約上の債務の本旨に従った履行が期待できず、その結果業務の正常な運営が妨げられることになる場合に限られるものと解するのが相当である。 以上によると、債権者は中主町議会議員に就任したことにより四年の任期中に一六〇日間の長期にわたって断続的に一研六Gの職務を離れ、その業務を十分に遂行することができなくなり、そのため、債務者の業務はその正常な運営を妨げられることになるのであるから、債権者の右議員就任は就業規則二二条二項および労働協約六三条二項に該当するものといわざるを得ない。 |