ID番号 | : | 00076 |
事件名 | : | 株式取引受理請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 山崎証券事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 有価証券の売買取引を業とする会社との間の外務員契約の終了に関し、雇用契約か否かが争点となった事例。(肯定、但し予告により解約) |
参照法条 | : | 民法623条 |
体系項目 | : | 労基法の基本原則(民事) / 労働者 / 委任・請負と労働契約 |
裁判年月日 | : | 1958年9月4日 |
裁判所名 | : | 名古屋高 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | |
裁判結果 | : | |
出典 | : | 民集15巻5号1329頁 |
審級関係 | : | 上告審/00077/最高一小/昭36. 5.25/昭和33年(オ)1023号 |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 被控訴会社の前主A株式会社が有価証券の売買取引を業とする会社であり、控訴人が従来A株式会社との間に存した外務員契約に基き、昭和三十年七月十八日頃迄同会社の外務員として、その顧客より株式その他の有価証券の売買又はその委託の媒介取次又はその代理の注文を受けた場合之を被控訴会社に通じて売買その他の証券取引を成立させるいわゆる外務行為に従事していたことは、それぞれ当事者間に争いがない。而して原審証人Bの証言、被控訴会社(被承継会社)代表者Cの原審での供述(一部)と証券取引法第五十六条の法意とを考え合せれば右外務員契約の性質内容は、民法上の期間の定のない雇傭契約にして、出来高に応じて賃銀を支払うものでありA株式会社は右外務員契約の存する限り、控訴人がなした有価証券の売買委託を受理すべき義務あるものと云わねばならない。 (中 略) 又、成立に争いない甲第一号証、原審並に当審証人Dの各証言、控訴人本人の原審並に当審での各供述の一部及び之により成立を認める甲第二号証の一、二を綜合すれば、右解雇言渡後の昭和三十年九月中にA株式会社取締役で外務員の登録事務を担当していた訴外Dが、同月末日で再登録期間の切れる控訴人の外務員登録の再登録手続を控訴人に催告し、之に応じて控訴人が右Dに再登録用の写真(甲第二号証の二)等を提出したことは認め得るが、右甲第一号証中「更正の再登録(中 略)に付き一度御話し申度く(下 略)」なる記載と原審証人Dの証言の一部によれば、右はDが一存で控訴人に詫を入れさせて復職させようと考えてはからったものなることを認め得るから、右事実あればとてA株式会社において控訴人との間の雇傭関係の存続を自認したものとみることはできない。 然らば控訴人A株式会社間の外務員契約は昭和三十年七月十八日の解雇の意思表示を以て一方的に解約せられたものとみるべく、而して、前記認定の解約の理由は未だ民法第六百二十八条の「已ムコトヲ得ザル事由」に該当するとは考えられないから、同法第六百二十七条により本契約は控訴人が解約の告知を受けた同日以後二週間を経過した昭和三十年八月一日限り終了したものということができる。 |