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ID番号 00092
事件名 破産債権確定請求控訴事件
いわゆる事件名 日本建設協会事件
争点
事案概要  使用人兼務の取締役であった者が、退職後会社が破産したので裁判所に退職金債権(優先債権)の届出をしたが、破産管財人に異議をのべられたので、優先破産債権を有することの確定を請求した事例。(一審 請求棄却。当審 控訴認容)
参照法条 労働基準法9条,11条
民法624条
体系項目 労基法の基本原則(民事) / 労働者 / 取締役・監査役
賃金(民事) / 退職金 / 退職金請求権および支給規程の解釈・計算
裁判年月日 1975年8月19日
裁判所名 東京高
裁判形式 判決
事件番号 昭和49年 (ネ) 2321 
裁判結果 取消(確定)
出典 時報801号87頁
審級関係 一審/東京地/昭49. 9.25/昭和48年(ワ)2639号
評釈論文
判決理由  〔労基法の基本原則―労働者―取締役・監査役〕
 取締役の地位と使用人の地位とは、法律上両立しえないものではないから、会社の使用人であった控訴人が取締役に就任したからといって、直ちに同人が使用人の身分を失なったものと解することはできない。そして、本件においては、控訴人が取締役に就任する直前に、会社を退職したとの事実については、これを肯認するに足りる証拠はない。かえって、《証拠略》によれば、控訴人は、取締役に就任した後も営業部長を兼ねており、実際にも使用人としての職務も行ない、かつ、使用人としての月々の俸給を受けており、退職時である昭和四五年三月当時における同人の基本給は、月額金一〇万九六七〇円であったことを認めることができる。よってこの点に関する被控訴人の主張は採用することができない。
 〔賃金―退職金―退職金請求権および支給規程の解釈・計算〕
 《証拠略》によれば、会社の社員給与規定の第一〇条には、社員が「円満退職する時に」退職金を給する旨定められていることが明らかである。しかし、さらに甲第二号証の二(就業規則)をもあわせて判断するならば、右にいう「円満退職」とは、懲戒処分による免職を除くその余の退職をすべて含むものと解するのが相当である。そして、本件退職が懲戒処分による免職でないことは、弁論の全趣旨より明らかなところである。よって被控訴人のこの点に関する主張もまた採用することができない。