ID番号 | : | 00093 |
事件名 | : | 賃金支払請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 増淵製作所事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 被告会社が賃借した工場で、被告会社の製造する製品の部品の製造、組立を行なっていた製作所の経営者が、被告会社に対して、雇傭契約上の未払賃金等の支払を請求した事例。(請求棄却) |
参照法条 | : | 労働基準法11条 |
体系項目 | : | 労基法の基本原則(民事) / 労働者 / 委任・請負と労働契約 |
裁判年月日 | : | 1975年9月23日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和48年 (ワ) 1937 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | 労経速報896号19頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 前記(一)及び(二)認定のように、原告が実質上本件工場の賃借人となり、被告会社から貸与を受けた機械と自らの負担において買受けた機械を設置し、自ら人選した従業員を使用し、「A製作所」名義で銀行口座を開設し融資を受け、後には独自に開拓した取引先からの注文にも応じていた等の事実関係のもとにあっては、原告が本件工場を独立して経営しているものと認めるのが相当であり、これが被告会社の一部門として同社に属し、原告が同社に雇傭され、ここに勤務していたものとは到底認めることはできない。 (中 略) 前記(三)の認定によれば、Bとしても原告に対し友人としての好意的援助の意味と共に本件工場の経営を軌道に乗らせることにより自己も利益分配にあずかることを目論み運転資金として仮受金を支払う等して肩入れをしたものということができる。原告が従業員の賃金につきBの了解を求めたことも、支援者に対する態度として理解することができるし、当初原告が被告会社から給料名義で金員の支払いを受けていた事実も被告会社による一種の経営援助と認めるべきである。このように、被告会社が原告に対し将来の利益分配を目論んで経営を支援していたため、前記(四)認定のように、本件工場が廃業に至れば、立場上整理を引受けざるを得なくなるのも自然のすう勢であり、この事実をもって本件工場が被告会社の一部門であるとする根拠とはなし得ない。 |