全 情 報

ID番号 00106
事件名 賃金等請求事件
いわゆる事件名 総合健康リサーチセンター事件
争点
事案概要  私傷病により長期欠勤中であった取締役事務長が、会社により右欠勤中解雇されたのに対し会社が準拠してきた親会社の給与規定、退職金規定に基づき欠勤中の賃金全額、退職金、さらに解雇予告手当の支払を求めた事例。(退職金についてのみ認容)
参照法条 労働基準法9条,11条
体系項目 労基法の基本原則(民事) / 労働者 / 取締役・監査役
賃金(民事) / 賃金の範囲
裁判年月日 1983年9月27日
裁判所名 大阪地
裁判形式 判決
事件番号 昭和56年 (ワ) 7108 
裁判結果 一部認容
出典 労経速報1170号3頁/労働判例418号36頁
審級関係
評釈論文
判決理由  〔労基法の基本原則―労働者―取締役・監査役〕
 右事実によれば、被告においては、当時、事務長が、必ずしも取締役と一体の地位職務とは取扱われておらず、右事務長職はむしろ従業員としてのものであるところ、原告は、被告に事務長として入社して勤務しており、取締役としての地位は右事務長職遂行上の便宜等の副次的なものであったとみられ、被告も、原告が取締役と従業員と両方の地位を有していることを前提とする行動を、当時取っていたとみられる、というべきであり、そうであれば、原告については、被告取締役としての関係とは別に、被告に入社する際に被告との間で雇用契約が成立しており、しかも、原告の被告における右取締役事務長としての勤務は、主に、従業員である事務長としての勤務であった、と認めるのが相当である。
 〔賃金―賃金の範囲〕
 右1(二)の検討の結果によれば、被告における原告の勤務が、主に、右雇用契約に基づく事務長としての勤務であった、ということであり、また右1(一)(1)のとおり、原告が被告取締役としては代表取締役以外の取締役と比べて特別の職務を担当したとは窺えないところ、右1(一)(5)のとおり、昭和五六年四月分以降は、被告の非常勤取締役の役員報酬が不支給となり、その際原告も月々の支給額を一〇万円減額されており、更に、右争いがない事実のとおり、被告の原告に対する月々の支給金は給与名目で支給されていたのであり、これらの事情に照らせば、原告に対する被告からの月々の支給金は、全額従業員としての給与であった、と認めるのが相当である。