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ID番号 00134
事件名 立入禁止等仮処分申請事件
いわゆる事件名 中央生コンクリート事件
争点
事案概要  生コンミキサー車の運転手として派遣されていた従業員らが、派遣先企業による派遣契約の解除に伴い就労を拒否されたのに対し、派遣先企業との明示、黙示の労働契約の存在および派遣契約解除が不当労働行為にあたり無効であることを主張して派遣先企業の従業員としての地位保全等求めた仮処分申請事例。(不当労働行為を理由とする契約解除無効の主張のみ認容)
参照法条 労働基準法9条,10条,2章
職業安定法44条
体系項目 労基法の基本原則(民事) / 労働者 / 派遣労働者・社外工
労基法の基本原則(民事) / 使用者 / 派遣先会社
裁判年月日 1983年5月23日
裁判所名 高知地
裁判形式 判決
事件番号 昭和56年 (ヨ) 163 
昭和56年 (ヨ) 174 
裁判結果 一部認容(確定)
出典 タイムズ510号158頁/労経速報1176号7頁/労働判例422号62頁
審級関係
評釈論文 秋田成就・ジュリスト835号142頁/萩沢清彦・季刊実務民事法7号220号
判決理由  申請人らと被申請人Y1会社との間に明示の労働契約が成立しているとは到底認め難く、かえって、申請人らの労働契約の相手方、すなわち雇主は被申請人Y2会社であり、申請人らは、同被申請人に雇用されたうえで、同被申請人と被申請人Y1会社との間の派遣契約に基づき被申請人Y1会社へ派遣され、同被申請人の指揮監督を受けてミキサー車の運転に従事していたものと認められる。
 (中 略)
 労務の提供が行われ、いわゆる使用従属関係が存在するからといって直ちに、その関係につき労働契約が成立しているものとみるのは相当でなく、その成立には使用者と労働者との意思の合致を必要とするのである。もっとも、労働者派遣の場合において、労働契約上の使用者が、全く実体のないものであったり、仮に実体を有していても労働者との間に実質的な契約関係というべきものが存在せず、ただ形式的に労働契約の外装を作り出しているにすぎないようなときで、むしろ労働者の派遣を受ける者が労働者の採否や賃金額等を直接決定しているといえるようなときには、当該労働者とその派遣を受ける者との間に、直接の労働契約を締結する黙示的な意思表示がなされたものと推認できることはありうる。
 これを本件についてみるに、前示のとおり、申請人らは、被申請人Y2会社との間で労働契約を締結し、同被申請人と被申請人Y1会社との派遣契約に基づき同被申請人のミキサー車運転の業務に従事していたものであるが、前記当事者間に争いのない事実と1(二)及び(三)に認定した事実によれば、被申請人Y2会社は、独立の法人格と実体を有し、自らも砂利運搬の事業を営んでいて、前記のように派遣先の不況時には、派遣従業員を再び受け入れる能力をそなえた企業体であって、被申請人Y1会社のみならず申請人らからも実質的な契約当事者と認められていた存在であり、しかも申請人らについては、被申請人Y2会社の従業員として同被申請人との間で賃金等の交渉決定が行われてきたものといえるから、前記1(一)のような就労の実態があっても、申請人らと被申請人Y1会社との間に直接の労働契約を成立させる黙示的な意思表示があったものと認めることはできない。