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ID番号 00149
事件名 雇用関係存在確認請求事件
いわゆる事件名 東宝事件
争点
事案概要  映画製作の技師として被告会社と契約を締結していた原告らが契約を打切られたため、右契約は雇用契約であると主張してその存在確認を求めた事例。(棄却)
参照法条 労働基準法8条,2章
体系項目 労働契約(民事) / 成立
裁判年月日 1982年6月24日
裁判所名 東京地
裁判形式 判決
事件番号 昭和51年 (ワ) 11312 
昭和54年 (ワ) 9722 
裁判結果 棄却(控訴)
出典 労働民例集33巻3号534頁/時報1050号138頁/労経速報1123号3頁/労働判例390号45頁
審級関係
評釈論文 西井龍生・判例評論290号55頁
判決理由  16 ところで、本件契約が原告ら主張のように雇用契約であるといえるか否かは、本件契約を締結するに至った経緯とその当事者の意思、被告会社の従業員、とりわけ、映画の製作に従事している助手の就業時間、報酬、被告会社の指揮監督の有無・態様・その根拠等と原告らのそれとの相違の有無等を総合して検討すべきところ、前記1ないし15で認定・説示したこと、特に第一に、当事者の意思として、仮に本件契約が雇用契約であるとすれば、何故に原告Xを除くその余の原告らをわざわざ被告会社から退職させて退職金を支払って新たに本件契約を締結したのか、その必要性ないしはその合理的根拠を見出せないこと、また、原告らが助手とは異なったかなり優遇された条件で本件契約を締結していて退職金も支給されないこと、第二に、技師の仕事に対する規律の相違、とりわけ原告ら技師には就規が適用されず、就業時間という観念もないこと、第三に、報酬の違い、すなわち、額の点では、契約締結時においては助手よりもかなり高額であること、契約の打切り当時でも製作本数が多ければかなりの金額になるはずであること、内容の点では、税法上では、原告ら技師はそれぞれ独立の事業者として所得申告しており、その報酬は給与所得ではなく事業所得であり、したがって、この面では原告らの報酬は賃金とはいえないこと、第四に、他会社の仕事をする場合の助手との相違等を総合して考察すれば、本件契約は雇用契約であるとは到底認めることができず、本件契約の専属契約性、契約期間が長期にわたっていること及び製作担当者による指揮監督性等々の原告らが本件契約が雇用契約であるとして主張する根拠については既にそれぞれの個所において認定、説示しているとおりであって、いずれも未だ本件契約が雇用契約であるとする根拠に欠けるものというべきであり、そして他に本件契約を雇用契約と認定するに足りる証拠はない。