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ID番号 00151
事件名 賃金請求事件
いわゆる事件名 八洲測量事件
争点
事案概要  採用後に現実に支払われた賃金額が求人票記載の見込額より低額だとして、その差額の支払を求めた事例。
参照法条 労働基準法15条
体系項目 労働契約(民事) / 労働条件明示
裁判年月日 1979年10月29日
裁判所名 東京地
裁判形式 判決
事件番号 昭和50年 (ワ) 10895 
裁判結果 一部認容(控訴)
出典 労働民例集30巻5号1088頁/時報946号13頁/タイムズ404号107頁/労経速報1031号3頁/労働判例330号88頁
審級関係 控訴審/00154/東京高/昭58.12.19/昭和54年(ネ)2562号
評釈論文 秋田成就・判例評論257号36頁/中窪裕也・ジュリスト723号169頁/柳沢旭・労働判例335号4頁
判決理由  被告の原告らに対する前記合格通知の発送をもって直ちに原・被告間に労働契約が成立したと解することはできないが、原告らが被告の求めに応じて前記出社勤務約定書に署名捺印のうえこれを被告に提出し、翌春の卒業と同時に出社して勤務すること及びそれまでの間に入社取消等の行為をしないことを約した時点において各原告と被告間に労働契約が成立したものと解する余地はありうる。
 しかし、そうだとしても、右時点における本件労働契約は、原告らが当時在籍していた学校をそれぞれ首尾よく卒業し、昭和五〇年四月一日に現実に入社することによってその効果が生じるものであり、それまでは採用された者が入社を辞退しない旨確約しながら自由に辞退することができたのであるから、いわゆる解除条件付、始期付、解約権留保付契約ともいうべき性格を有していたものと解される反面、その労働条件に関しても、賃金のうち基本給については現行基本給を上回ることだけが保障され、その確定額が後日に留保されていたことは前記認定の通りであり、更に、原告らは、当時求人票を見ていたにすぎなかったから、その勤務時間、勤務場所等の労働条件についてさえも必ずしも分明ではなく、これらは後日就業規則などの送付によって明確にされる段階にあったものということができる。