全 情 報

ID番号 00163
事件名 身元保証債務履行請求事件
いわゆる事件名 坂入産業事件
争点
事案概要  出向中の従業員が、出向先の子会社で一億二〇〇〇万円弱を横領したため、出向元親会社が右損害のうち約四五〇〇万円を子会社に支払う一方、右従業員が親会社に入社する際、親会社と身元保証契約を締結していた身元保証人に二〇〇〇万円の支払を請求した事例。(一部認容)
参照法条 労働基準法2章
身元保証ニ関スル法律5条
体系項目 労働契約(民事) / 身元保証
裁判年月日 1983年4月26日
裁判所名 浦和地
裁判形式 判決
事件番号 昭和56年 (ワ) 239 
裁判結果 一部認容(控訴)
出典 時報1091号123頁/タイムズ501号164頁/労働判例418号104頁/労経速報1176号3頁
審級関係
評釈論文
判決理由  Aは出向先の訴外会社の業務に関連して横領行為をなし、第一次的には訴外会社に対して損害を与えたものであるが、一般に身元保証契約の当事者は、被用者本人が契約当事者となった使用者の業務に関して不法行為をなし右使用者に対して与えた損害の賠償を保証することを約するものであるから、出向先の業務に関してなした不法行為による損害については、これをも保証の範囲とする旨の特約がある場合はさておき(中 略)。
 これがない場合には、原則として身元保証人に責任はない。しかしながら、前記認定の事実によれば、訴外会社は原告の営業所の実質しか有しないうえ、同社に出向したとはいっても、原告とAとの間には、指揮命令関係が存し、Aは原告代表者の指揮監督の下に訴外会社の経理事務を担当し、右業務を遂行するに際して本件横領行為をなしたのであって、原告の業務遂行中に不正行為をなした場合と何ら変わるところはないから、被告は本件行為の結果原告が被った損害につき身元保証人としての責任を免かれない。