ID番号 | : | 00184 |
事件名 | : | 仮処分申請事件 |
いわゆる事件名 | : | 大阪読売新聞社事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 試用期間の満了にあたり社員としての適格性に疑問ありとして試用期間の延長がなされた後、適格性に改善の見込なしとして解雇された申請人が、解雇の無効を主張して地位確認と賃金支払の仮処分を申請した事例。(却下) |
参照法条 | : | 労働基準法3条,21条 民法1条3項 |
体系項目 | : | 労働契約(民事) / 試用期間 / 試用期間の長さ・延長 |
裁判年月日 | : | 1967年1月27日 |
裁判所名 | : | 大阪地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和39年 (ヨ) 3719 |
裁判結果 | : | 却下(控訴) |
出典 | : | 労働民例集18巻1号10頁/時報477号57頁/タイムズ205号183頁 |
審級関係 | : | 控訴審/00189/大阪高/昭45. 7.10/昭和42年(ネ)140号 |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | ところで試用期間の延長は通常被傭者に対し、大きな不利益をもたらすものであるから、これを必要とする特別の事情がない限り一方的にすることを許されず、殊に思想信条を理由に他と差別してなし得ないことはいうまでもなく、又それを告知する形式も明確且つ厳粛でなければならない。よって先ず、本件試用期間の延長につき右特別の事情が存するか否かについて検討するに、前記疎明にかかる(一)乃至(三)の事実によれば、申請人がその性格怠惰粗笨で協調性なく業務遂行の熱意と責任感とを欠き、多数人の協同作業により短時間に多量の新聞を発送することを任務とする発送部の従業員として不適格であることをうかがい知ることが出来るから、八月一三日の時点において同人に対し試用規則一二条一号を適用しこれを解雇することも可能であったと考えられる。しかるに会社がその挙に出でず、同日試用期間の延長を決定した理由は、延長期間中に申請人の勤務態度が改まることを期待し、そうなれば社員に登用しようとの配慮によるものであることが前記《証拠略》により疎明せられる。ところで解雇理由があるにもかかわらず、被傭者の利益のため、解雇を猶予することは当該被傭者に対し何らの不利益をもたらすものではないから禁止する必要はなく、且つこのような場合使用者のとるべき措置は試用期間の延長以外に考えられないのであって、そうだとすると本件試用期間の延長はその動機において許容すべくその方法においてやむを得ないものと云わざるを得ない。よって前記特別事情の存在を認むべきである。 |