ID番号 | : | 00197 |
事件名 | : | 地位保全・金員支払仮処分申請事件 |
いわゆる事件名 | : | 小太郎漢方製薬事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 人事課員としての初歩的ミス(給料明細票の作成中の計算ミス、賞与の袋詰め作業におけるミス、賞与の総合計額の算出上のミス等)を理由に試用労働者の本採用を拒否した製薬会社に対して、従業員としての仮の地位の保全、賃金の仮払いが求められた事例。(申請認容) |
参照法条 | : | 民法1条3項 労働基準法20条,21条 |
体系項目 | : | 労働契約(民事) / 試用期間 / 本採用拒否・解雇 |
裁判年月日 | : | 1977年6月27日 |
裁判所名 | : | 大阪地 |
裁判形式 | : | 決定 |
事件番号 | : | 昭和51年 (ヨ) 2897 |
裁判結果 | : | 認容 |
出典 | : | タイムズ349号150頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 四 ところで、本件解雇が試用期間満了時における本採用の拒否という方法によってなされたものであることは前記のとおりであり、疎明資料によって認められる会社の就業規則の規定の文言、企業内における処遇の実情等に徴すれば、二ケ月の試用期間つきの本件雇用契約は、解約権留保つきの雇用契約であり、右本採用の拒否は、留保解約権の行使による解雇にほかならないというべきである。しかしてこの場合の解雇は、もともと試用期間というものが雇用した労働者の職業能力を試し、その職業的適格性を判定するために設けられるものであることに鑑みれば、通常の解雇の場合に較べてより広い範囲においてその自由が認められるものであるといわざるをえないけれども、使用者の裁量・判断によって自由に解雇することができるというわけのものでは勿論ないのであって、右のごとき試用期間の趣旨に照らして客観的に合理的な理由が存し社会通念上相当として是認される場合にのみ留保解約権の行使としての解雇が許されるものといわなければならない(最高裁判所昭和四八年一二月一二日大法廷判決)。 (中 略) しかして、以上の諸点を総合して考えるならば、前認定の事実はいずれも、申請人の人事課員としての職業能力ないし職業的適格性を疑わしめるほどの重大な過誤であるとは認めがたく、試用期間の趣旨に照らし留保解約権の行使を社会通念上相当として是認せしめるような客観的に合理的な理由にあたると解することはできないといわざるをえないのである。 |