ID番号 | : | 00211 |
事件名 | : | 地位保全賃金支払仮処分命令申請事件 |
いわゆる事件名 | : | 小野田セメント事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 会社の設定した希望退職募集基準中の「有夫の女子」「三〇歳以上の女子」に該当するとして退職勧奨を受け、これに従い合意退職した女子従業員が、これらの基準は性別による差別的取扱いにあたり無効であるから、右退職の合意も無効であるとして地位保全等求めた仮処分申請事件。(申請認容) |
参照法条 | : | 民法90条 労働基準法3条,4条 |
体系項目 | : | 労基法の基本原則(民事) / 均等待遇 / 性と整理解雇基準 解雇(民事) / 整理解雇 / 整理解雇基準・被解雇者選定の合理性 |
裁判年月日 | : | 1968年4月10日 |
裁判所名 | : | 盛岡地一関支 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和41年 (ヨ) 6 |
裁判結果 | : | |
出典 | : | 労働民例集19巻2号522頁/時報523号79頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | 斉藤忠昭・労働法律旬報686号25頁 |
判決理由 | : | 「有夫の女子」「三〇歳以上の女子」という一般的な退職基準を設けること(「有夫の女子」「三〇歳以上の女子」ということだけで当然に企業貢献度が低く、経済的に困らないということはいえない。)は、結婚している女子の差別待遇または性別による差別待遇に該当するといえるから、いずれも憲法第一四条、労働基準法第三条、第四条の精神に違反し、かかる差別に基く法律行為は私法上無効であるといわなければならない。 (中 略) この基準に基く指名解雇は公序良俗に反し私法上無効であるというべきところ、申請人はかかる指名解雇を目前にしてこれから免れ得ないものと観念したために退職願を提出したのであり、被申請人が右一二月一五日以後右「有夫の女子」「三〇歳以上の女子」の基準によるものでなく、右基準以外に合理的理由があったことを明らかにできないので使用者が退職勧告と違法な停止条件付解雇とを同時に意思表示した場合と同じように理解するのが相当であるから、違法な指名解雇基準と密接不可分な関係に立って成立した合意解約ということができ、結局かかる合意解約は公序良俗に反し私法上無効であるといわなければならない。 |