ID番号 | : | 00227 |
事件名 | : | 雇用関係存続確認等事件 |
いわゆる事件名 | : | 日産自動車事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 就業規則が定める男子六〇歳女子五五歳の定年年齢に達したとする退職命令につき、男女別定年制は差別的取扱いであるとして雇用関係の確認を求めた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法3条,89条 民法90条 |
体系項目 | : | 労基法の基本原則(民事) / 均等待遇 / 男女別定年制 |
裁判年月日 | : | 1981年3月24日 |
裁判所名 | : | 最高三小 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和54年 (オ) 750 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | 民集35巻2号300頁/時報998号3頁/タイムズ440号53頁/労経速報1078号6頁/労働判例360号23頁/裁判所時報812号3頁/裁判集民132号321頁 |
審級関係 | : | 控訴審/00225/東京高/昭54. 3.12/昭和48年(ネ)675号 |
評釈論文 | : | 阿部照哉・民商法雑誌85巻5号840頁/安枝英のぶ・労働判例369号4頁/五百蔵洋一・労働経済旬報1188号14頁/荒木誠之・季刊労働法120号116頁/三浦恵司・法律のひろば34巻6号51頁/山口浩一郎・労働経済判例速報1118号10頁/山川隆一・ジュリスト777号113頁/時岡泰・ジュリスト745号100頁/時岡泰・法曹時報36巻8号109頁/小倉隆志・経営法曹会議編・最高裁労働判例4434頁/星野英一・法学協会雑誌99巻12号1924頁/青野覚・労働判例367号10頁/中山勲・昭和56年度重要判例解説〔ジュリスト768号〕14頁/半田吉信・昭和56年民事主要判例解説〔判例タイムズ472号〕10頁/福島淳・日本労働法学会誌58号112頁/林弘子・労百選〔四版〕48頁 |
判決理由 | : | 上告会社の就業規則は男子の定年年齢を六〇歳、女子の定年年齢を五五歳と規定しているところ、右の男女別定年制に合理性があるか否かにつき、原審は、上告会社における女子従業員の担当職種、男女従業員の勤続年数、高齢女子労働者の労働能力、定年制の一般的現状等諸般の事情を検討したうえ、上告会社においては、女子従業員の担当職務は相当広範囲にわたっていて、従業員の努力と上告会社の活用策いかんによっては貢献度を上げうる職種が数多く含まれており、女子従業員各個人の能力等の評価を離れて、その全体を上告会社に対する貢献度の上がらない従業員と断定する根拠はないこと、しかも、女子従業員について労働の質量が向上しないのに実質賃金が上昇するという不均衡が生じていると認めるべき根拠はないこと、少なくとも六〇歳前後までは、男女とも通常の職務であれば企業経営上要求される職務遂行能力に欠けるところはなく、各個人の労働能力の差異に応じた取扱がされるのは格別、一律に従業員として不適格とみて企業外へ排除するまでの理由はないことなど、上告会社の企業経営上の観点から定年年齢において女子を差別しなければならない合理的理由は認められない旨認定判断したものであり、右認定判断は、原判決挙示の証拠関係及びその説示に照らし、正当として是認することができる。そうすると、原審の確定した事実関係のもとにおいて、上告会社の就業規則中女子の定年年齢を男子より低く定めた部分は、専ら女子であることのみを理由として差別したことに帰着するものであり、性別のみによる不合理な差別を定めたものとして民法九〇条の規定により無効であると解するのが相当である(憲法一四条一項、民法一条ノ二参照)。 |