ID番号 | : | 00231 |
事件名 | : | 就業規則の改正無効確認請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 秋北バス事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 従来定年制がなかった原告らに対し会社が新に五五歳を定年とする就業規則を一方的に定め、定年到達を理由として解雇したことに対し雇傭契約関係存続の確認を求めて訴えた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法89条 |
体系項目 | : | 就業規則(民事) / 就業規則の一方的不利益変更 / 定年制 退職 / 定年・再雇用 |
裁判年月日 | : | 1962年4月16日 |
裁判所名 | : | 秋田地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和33年 (ワ) 233 |
裁判結果 | : | 一部認容 一部却下 |
出典 | : | 労働民例集13巻2号459頁/時報295号40頁/タイムズ130号139頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | 中島正・労働経済旬報513号16頁 |
判決理由 | : | 〔就業規則―就業規則の一方的不利益変更―定年制〕 そして、就業規則は、使用者が一方的に制定変更し得るものであるが、その変更が既存の労働契約と対比して労働者にとって不利益な場合には、その同意なくして労働契約の内容を変更し得るものではない。そして、原告らが前記定年制の設定に同意したことを認むべき証拠はないのであるから、前記変更された定年制の規定は原告らに適用なきことは明らかである。従って、定年に達したことを理由として原告らを解雇することはできない。 〔退職―定年・再雇用〕 ところで停年制は、労働者が停年に達することによって(自動的にしろ或いは解雇によるにしろ)雇傭関係の消滅をもたらすものであるから、新たに停年制を設けることは既存の労働契約に年齢的制限を加えるという意味において、労働者にとって不利益な変更を意味する。もちろん解雇の自由が存在する限り、使用者は何時でも一方的意思表示により労働契約を終了させることができるのであって、それは定年制(身分保障の意味を持たない)が有っても無くても同じことであるが、一面において、停年制なき労働者は、年齢にかかわりなく働けるという可能性を有する。停年制の設定は、労働者から一率且つ無差別にこの可能性を奪うという点において労働者にとって不利益であり、しかもその不利益の度合は、権利濫用の法理により解雇の自由が次第に制限される趨勢により強められるというべきである。 |