ID番号 | : | 00260 |
事件名 | : | 身分関係存在確認等請求 |
いわゆる事件名 | : | 熊本通運事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 傭車契約に基づき相手方会社の業務に従事していた原告が相手方会社の業務命令に違反しそのため傭車契約の解約をもたらし被告会社に損害を与えたとして懲戒解雇されたので、解雇の無効を主張し労働契約上の権利を有する地位の確認を求めた事例(棄却)。 |
参照法条 | : | 労働基準法89条1項9号 |
体系項目 | : | 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 業務命令拒否・違反 |
裁判年月日 | : | 1985年3月8日 |
裁判所名 | : | 熊本地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和58年 (ワ) 100 |
裁判結果 | : | 棄却(控訴) |
出典 | : | 労働民例集36巻2号155頁/労働判例464号85頁/労経速報1251号10頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | 野田進・ジュリスト898号116~118頁1987年12月1日 |
判決理由 | : | ところで右傭車契約とは、被告会社が自社の車輛を従業員である運転手付でA会社に提供してA会社の輸送業務に従事させ、その対価(傭車料と呼ばれている。)として、距離と時間等に応じた一定の金員を受け取るというものであるが、当該運転手は、被告会社に対しては、A会社の業務命令に従うべき旨の抽象的な業務命令に服する関係にあるとともに、A会社に対しては同社の具体的業務命令に従うべき義務を負うものであるが、右具体的業務命令が発せられたときは、被告会社の抽象的業務命令もその内容に応じて具体化するものである。 (中 略) 右事実によれば、原告は、B所長の大宮営業所から八代営業所までの荷物輸送業務命令に不当に違反することにより、被告会社の前記抽象的及び具体的業務命令(以下「本件業務命令」という。)に違反したこと、更にその後のB所長に対する反発の態度が結局は被告会社の信用失墜ともいうべき取引停止という重大な事柄を引き起し、被告会社に多大の収入減という損害をもたらしたこと、右反発には何ら合理的な理由を見いだしがたいこと、それにもかかわらず、原告は一片の反省態度すらみせず、かえって自己の正当性を主張していることが認められ、右事実によれば、かかる一連の行動、態度をとる原告は前記就業規則七六条四号、一四号、一六及び一七号に該当する者であるということができ、そうすれば、本件解雇の理由は存在するというべきである。 |