ID番号 | : | 00277 |
事件名 | : | 労働条件確認請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 京都西陣郵便局員配転事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 集配課計画係から郵便課通常係への異動通知を受けた郵便局職員が、集配課計画係の業務以外の業務に従事する義務のないことの確認を請求した事例。(請求棄却) |
参照法条 | : | 労働基準法2章 |
体系項目 | : | 配転・出向・転籍・派遣 / 配転命令の根拠 |
裁判年月日 | : | 1972年8月31日 |
裁判所名 | : | 京都地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和43年 (ワ) 177 |
裁判結果 | : | (控訴) |
出典 | : | 労働民例集23巻4号540頁/時報693号99頁/訟務月報18巻11号1708頁 |
審級関係 | : | 控訴審/大阪高/昭49. 3.28/昭和47年(ネ)1257号 |
評釈論文 | : | 菊池高志・労働判例161号6頁 |
判決理由 | : | 企業内で労働者は、使用者に包括的に与えられた指揮命令権に服して労働に従事しなければならないのであるが、使用者の右指揮命令権は労働者との契約により与えられたものであり、契約により定められた範囲にしか及ばないのである。配置換についても、右指揮命令権の一種として、労働契約により提供すべきものと定められた範囲内において、具体的、個別的に労働者の提供すべき労働の種類、態様、場所等を決定する一方的意思表示であり、右意思表示により、使用者と労働者の間には具体的、個別的な権利義務関係が形成されるのである。ただ、配転命令が、当初の労働契約により定められた範囲を逸脱する場合には、右のような効果は生ぜず、その命令は、労働契約の変更の申出として、相手方の労働者が、それに同意した場合にのみ有効となるのである。 本件配転命令は原告に対し西陣郵便局集配課計画係から同郵便局郵便課通常係に勤務の変更を命ずるものであるが、これは右にみた当初の労働契約の範囲内のものであることは明らかであり、当初の労働契約締結に際し、労働場所を特定したり、配置換に原告の同意を要する特約をしたなどの特段の事情は認められないから、結局本件配転命令には原告の同意を要しないことになる。 よって、本件配転命令は原告の同意がないから無効であるとの原告の主張は採用できない。 |