ID番号 | : | 00293 |
事件名 | : | 配転命令効力停止仮処分申請事件 |
いわゆる事件名 | : | 日本テレビ放送事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | テレビ会社のアナウンス課から審査室考査部への配転を命じられた女性アナウンサーが配転命令の効力停止の仮処分を申請した事例。(申請認容) |
参照法条 | : | 労働基準法2章 |
体系項目 | : | 配転・出向・転籍・派遣 / 配転命令権の限界 |
裁判年月日 | : | 1976年7月23日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 決定 |
事件番号 | : | 昭和51年 (ヨ) 2294 |
裁判結果 | : | 認容 |
出典 | : | 時報820号54頁/タイムズ338号126頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | 香川孝三・ジュリスト669号136頁/浅倉むつ子・季刊労働法102号112頁/本多淳亮・判例評論219号45頁 |
判決理由 | : | 右の二で認定した事実を総合して判断すれば、申請人が労働契約締結の際に被申請人に対しテレビ放送のアナウンス業務以外の業務にも従事してよい旨の明示または黙示の承諾を与えているなどの特段の事情の認められないかぎり、申請人は、被申請人との間に、テレビ放送のアナウンス業務のみに従事するという職種を限定した労働契約を締結したものであって、その後申請人が個別に承諾しないかぎり、被申請人会社におけるその余の業務に従事する義務を負わないものと解すべきである。そして、本件の全疎明資料を検案しても、申請人が労働契約締結の際に被申請人に対しテレビ放送のアナウンス業務以外の業務にも従事してよい旨の明示また黙示の承諾を与えているなどの特段の事情は認められない。そうすると、申請人がその後個別に承諾しないかぎり、被申請人は、申請人に対し、テレビ放送のアナウンス業務以外の業務に従事することを命ずる労働契約上の権利を有しないものといわなければならない。 なお、《証拠略》によれば、被申請人会社の職員就業規則第三八条は、従業員(職員)の転勤、転職等につき、「会社は業務に必要あるときは職員に転勤、転職または社外業務に出向を命ずることがある。出向の際の取り扱いは別に定める。」と規定していることを認めることができるけれども、この就業規則の規定が右に述べたような職種を限定した労働契約に優先して適用されその契約の効力を失わせると解すべき根拠は全く考えられないから、この規定の存在は右に述べた結論を左右するに足りるものではない。 |