ID番号 | : | 00308 |
事件名 | : | 配転命令効力無効確認請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 岩崎電気事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 埼玉製作所勤務の技術員を仙台支店のセールスヘルパーとする配転命令につき、右命令が労働契約に違反する等として、地位確認を求めた事例。(請求棄却) |
参照法条 | : | 労働基準法2章 |
体系項目 | : | 配転・出向・転籍・派遣 / 配転命令の根拠 |
裁判年月日 | : | 1981年2月17日 |
裁判所名 | : | 浦和地熊谷支 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和50年 (ワ) 62 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | 労経速報1076号3頁/労働判例361号54頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 一 労働契約は労務ないし労働それ自体の利用を目的とするものであって、一般に、労働契約において労働者は使用者に対し、包括的に労務の提供を約するのが通例であるから、使用者は労働者から提供される労務を適正に配置して使用する権限を有する。従って使用者は、労働者との個別的労働契約(その内容となった労働協約、就業規則を含む)において、労務の種類、態様、場所等を限定する特別の合意をしない限り、労働契約の趣旨の範囲内において、労働者に対し労務の種類等を具体的、個別的に決定して労務の提供を命ずることができ、労働者はその命令に服して労務を提供すべき労働契約上の義務を負う。 二 そこで、原告が被告会社に雇用される際、将来技術、技能系の職場でのみ就業するとの合意がなされたか否かにつき判断するに、原告が昭和四七年三月に岩手県立A工業高等学校電気科を卒業し、同年四月に被告会社に雇用され、当初第三機器課製造係に配属されたことは、前認定のとおりであるところ、(証拠略)によると、被告会社の就業規則三条には、正社員の資格として(一)事務員―書記―主事補―主事の系統と(二)技術員―技手―技師補―技師の系統の定めがあり、原告は、被告会社に雇用された後三か月の試用期間を経て、同年七月一日に正社員たる技術員になったこと、原告は同課製造係において、水銀灯照明器具、大型スイッチ等注文生産品の製造工程の作業に従事していたことが認められる。 しかし、就業規則三条の右定めは、単に正社員の資格ないし格付を規定したに過ぎず、職種、職場等を限定する趣旨の規定とは解されないし、前掲(証拠略)によれば、就業規則中には他に右正社員資格のいかんによって配転を制限する趣旨の規定も存しないことが認められるから、このことと右一で説示したところを考慮すれば、原告の学歴や原告が技術員として同課製造係で製造工程の作業に従事してきたことをもって、原告と被告会社との労働契約において原告主張のとおりの合意がなされたものと認めることはできず、又原告が昭和四八年八月から同課管理係として勤務するようになったことは前認定のとおりであるが、同係での担当職務をもって仮に技術・技能系のものとみることができるとしても同断であり、他に原告の主張事実を認めるに足りる証拠はない。 |