ID番号 | : | 00314 |
事件名 | : | 地位保全等仮処分申請控訴事件 |
いわゆる事件名 | : | 川崎重工事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 神戸工場の管理部門での電算端末機のオペレーター業務から岐阜工場の生産部門への配転命令を拒否した従業員が、これを理由に通常解雇されたのに対し、右配転命令は本人の同意を欠き、人事同意約款に違反し無効である等として地位保全等求めた仮処分申請事件の控訴審。(控訴認容、労働者敗訴) |
参照法条 | : | 労働基準法2章 |
体系項目 | : | 配転・出向・転籍・派遣 / 配転命令の根拠 |
裁判年月日 | : | 1983年4月26日 |
裁判所名 | : | 大阪高 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和55年 (ネ) 1266 |
裁判結果 | : | 取消 却下(確定) |
出典 | : | タイムズ503号139頁/労経速報1154号11頁/労働判例411号64頁 |
審級関係 | : | 一審/00307/神戸地/昭55. 6.27/昭和53年(ヨ)683号 |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | ところで、労働の場所、職種等は労働契約の重要な要素であって、労働契約の内容の変更をもたらすような遠隔地配転等は、原則として労働者の同意なくしてこれをなし得ないものであるが、労働契約において勤務場所を特定して採用された労働者の場合を除き、右の同意は必ずしも当該配転の都度個別的になされなければならないものではなく、労働契約において明示又は黙示的に労働者が包括的に配転を同意しているものとみられるとき、殊に、就業規則あるいは労働協約において「使用者が業務の都合により従業員を配転することができる。」というような明確な定めのある場合には、労働者は包括的に配転を同意し、配転機能が労働者から使用者に委ねられているものであって、使用者はそれに基づき適法に配転命令を発し得るものと解するのが相当である。 これを本件についてみるに、(証拠略)によれば、被控訴人は昭和四九年四月一日会社に入社した際、会社に対し労働契約書を提出しているが、その労働契約書には、被控訴人は会社の就業規則に従い、誠実に勤務することを約しており、会社の就業規則一四条には「会社は業務上の都合により、従業員に転勤を命ずることがある。」と、また、同一五条には「会社は業務上の都合により、従業員の職種を変更し、または配置転換を命ずることがある。」と定められていることが認められ、それによれば、会社は右就業規則一四条等に基づき被控訴人に対し、適法に本件配転命令を発し得るものといわなければならない。 もっとも、労働契約において勤務場所を特定して採用された労働者の場合については、たとえ、就業規則あるいは労働協約に前示のような明確な定めがあっても職種、勤務場所を変更する配転は、原則として、その都度合意を要するものと解するのが相当であるから、本件の場合、被控訴人が勤務場所を神戸工場と特定して採用されたかどうかについて、更に検討してみる。 (中 略) 以上の事実が一応認められ、右認定の各事実に、前記一の1、2認定の会社の規模、組織、構成、従業員数等を合せ考察すれば、被控訴人はその勤務場所を神戸工場と特定されて会社に採用されたものではないというべきである。 |