ID番号 | : | 00318 |
事件名 | : | 解雇無効確認等請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 宮園自動車事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 勤務期間中に相次いで事故を起こすためハイヤー業務に配転されたタクシー運転手が、ハイヤー業務も不適格としてタクシー部の内勤への配転命令を受けたが以後二ケ月にわたり無断欠勤を続けたため懲戒解雇されたのに対し、右解雇の無効確認等求めた事例。(請求棄却) |
参照法条 | : | 労働基準法2章,89条1項9号 |
体系項目 | : | 配転・出向・転籍・派遣 / 配転命令の根拠 解雇(民事) / 解雇事由 / 無届欠勤・長期欠勤・事情を明らかにしない欠勤 |
裁判年月日 | : | 1984年9月26日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和57年 (ワ) 8652 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | 労経速報1206号16頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔配転・出向・転籍・派遣―配転命令の根拠〕 原告は被告に採用されるに際し、被告宛に、その就業規則に従い誠実に勤務すること等を内容とする誓約書を交付しているところ、被告の就業規則(これが有効であることについては後記四2のとおり)一一条はその一項において「会社は業務上の都合で従業員に職種の変更、勤務場所の異動又は傍系会社への出向を命ずることがある」、その二項において「前項について従業員は正当な理由がなくてこれを拒むことはできない」と規定していることがそれぞれ認められるから、被告においては本件の如きタクシー乗務員としての勤務から内勤という職種を異にする配転も、被告の業務上の都合があり、かつ従業員においてこれを拒否する正当な理由がないときは、その同意がなくしても有効になし得るものと解される。しかして、前認定の原告の惹起した一連の事故(前記二2(一)の(1)ないし(11)、同(二)の計一二件の事故、以下それぞれ順に(1)ないし(12)の事故という)の態様、回数、そこにあらわれた原告の過失内容等に照らすと、原告は注意力に欠け、また乗客を安全に輸送することを使命とするタクシー運転手として心掛けるべき安全運転に対する配慮にも欠けるところがあるといわざるを得ず(なお、(4)、(6)の事故が被告の社内上「被害事故」として処理されていることは認められるが、これらの事故といえども原告に過失がなかったとはいえないし、また、(10)の事故につき、仮りに原告が主張するように右事故により真実は乗客が傷害を負ったものでないとしても、そのことは原告の運転態度に関する前記判断に特段影響を及ぼすものではないというべきである)、被告が原告に対し内勤への配転命令を発したのもやむを得ない業務上の都合によるもので、原告にはこれを拒否するに足る正当な理由はないものというべきである。 〔解雇―解雇事由―無届欠勤〕 原告の前記三2の如き無断欠勤の事実に照らすと、これが懲戒解雇事由を定めた被告の就業規則六六条二号の「正当な理由がなく無断欠勤が引続き七日以上に及んだとき」に該当することは明らかといわなければならない。 (中 略) 本件解雇は、原告が昭和五六年一一月二六日A営業所長から正当にも内勤業務への配転を命じられながらあくまでタクシー乗務を要求して譲らず、長期の無断欠勤を重ねたためなされたものというべきである。 (中 略) 4 以上の他に、本件解雇を無効とすべき事由についての主張、立証はないから、結局本件解雇は有効になされたものというべく、従って原告は昭和五七年二月二八日限りで被告の従業員たる地位を喪失したものというべきである。 |