ID番号 | : | 00324 |
事件名 | : | 地位確認及び賃金支払請求控訴事件 |
いわゆる事件名 | : | 日立製作所事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 系列会社への転属を承諾した後に、転属先から転属を拒否されたにもかかわらず退職扱いされた従業員が、右承諾は要素の錯誤により無効である等として従業員としての地位確認等求めた事件の控訴審。(控訴棄却、労働者勝訴) |
参照法条 | : | 民法95条,625条1項 |
体系項目 | : | 配転・出向・転籍・派遣 / 転籍 |
裁判年月日 | : | 1968年8月9日 |
裁判所名 | : | 東京高 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和42年 (ネ) 322 |
裁判結果 | : | |
出典 | : | 労働民例集19巻4号940頁/東高民時報19巻8号166頁/タイムズ229号308頁 |
審級関係 | : | 一審/04323/横浜地/昭42. 2.16/昭和40年(ワ)1629号 |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 本件転属が控訴会社の被控訴人との間の労働契約上の地位の譲渡であり、控訴会社とA会社との間に本件転属に関する合意が成立した以上、被控訴人がこれを承諾すれば、控訴会社の被控訴人との間の労働契約上の地位は直ちにA会社に移転するから、被控訴人は控訴会社の従業員たる地位を失うと同時に、当然A会社の従業員たる地位を取得するものというべく、その間に改めてA会社との間に労働契約を結ぶ余地のないことは明白である。 (中 略) 右事実によれば、A会社で支障なく就労できることが本件転属承諾の要素となっていたことは明白であるところ、被控訴人はA会社で就労させてもらえるものと信じて本件転属を承諾したのに、当時すでにA会社ではその就労拒否を決定していたのであるから、右承諾は要素に錯誤があり、無効といわざるを得ない(被控訴人の承諾以前にA会社がその就労を拒否する意向を示し、たとえ被控訴人が承諾しても、就労できないことが確定的であれば、ひるがえって控訴会社とA会社との間の転属に関する合意そのものの効力が発生しないことになると解する余地もないではない)。 |