ID番号 | : | 00343 |
事件名 | : | 出向命令効力停止仮処分申請認容事件 |
いわゆる事件名 | : | ニッショー事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 出向命令を拒否した元組合委員長たる従業員が、右拒否を理由に懲戒解雇されたのに対し、右出向命令は本人の明示、黙示の同意を欠き、また不当労働行為にあたり無効である等として出向命令の効力停止、地位保全等求めた仮処分申請の事例。(申請認容) |
参照法条 | : | 労働基準法2章,89条1項9号 民法625条1項 |
体系項目 | : | 配転・出向・転籍・派遣 / 出向命令権の限界 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 業務命令拒否・違反 |
裁判年月日 | : | 1984年3月26日 |
裁判所名 | : | 大津地 |
裁判形式 | : | 決定 |
事件番号 | : | 昭和59年 (ヨ) 25 |
裁判結果 | : | 認容 |
出典 | : | タイムズ538号204頁/労働判例436号65頁/労経速報1204号25頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 従業員に対し出向を命じ得るのは当該従業員の同意その他これを法律上正当づける特段の根拠がある場合に限られるものと解するのが相当であるから、以下これを本件について検討する。債権者の入社当時(昭和三八年二月)その勤務する債務者大津工場の就業規則に出向に関する規定が存しなかったことは当事者間に争いがないところ、債務者は昭和三九年四月施行の変更後の就業規則には出向に関する規定が存する旨を主張するが、右変更に債権者の同意があったことについて疎明がないので、右就業規則をもって前述した特段の根拠とはなし得ない。また、債務者は従業員が出向命令に従う旨の労使慣行が成立しているとか、これについて債権者の黙示の包括的な同意があった旨を主張するが、本件疎明資料によるも右事実を認めるに足りない。してみると、債権者には本件出向命令に従う雇用契約上の義務はなく、したがってこれを拒否したことを理由に昭和五九年二月二五日付でなされた本件懲戒解雇も無効である。 |