ID番号 | : | 00352 |
事件名 | : | 地位保全仮処分控訴事件 |
いわゆる事件名 | : | 住友石炭鉱業事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 私病による休職期間の満了を自然退職扱いにすることを有効とした事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法2章 労働組合法16条 |
体系項目 | : | 休職 / 休職の終了・満了 |
裁判年月日 | : | 1973年4月26日 |
裁判所名 | : | 札幌高 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和44年 (ネ) 136 |
裁判結果 | : | 原判決取消 |
出典 | : | 労働判例177号41頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 右交渉委員がこれらの要望に基づいてさらに交渉を続けた結果、前記労働協約九七条「諒解事項」1と同旨の規定を当時締結された労働協約の災害補償条項に諒解事項として規定し、既に休職中の従業員のような場合にあっては、後に「医師が職業病と診断」し、災害補償請求の手続中のものに限り、右手続において業務外の疾病であることが明かになるまで休職期間を延長することを協定したものであり、これが右「諒解事項」1として踏襲された。 右事実からすれば、右諒解事項の適用に当っては従業員が疾病にかかった場合、いわゆる職業病(公症)であるかどうか疑いがあるときは、具体的には、まず砿業所病院の医師の診断を受けることとし、その結果に不満な従業員は他の医師の診断を受け、それが砿業所病院の医師の診断と異なるときは、A病院(北海道地区につき)の診断の結果に従うべきことと約されていたものであり、砿業所の病院では職業病と診断されなかったが、他の病院の医師がこれと異り職業病と診断した場合に、それがA病院の診断でない限りその医師がそのように診断したとの一事をもって、右のようにくい違ったまま、たとえば本件のように労働者災害補償保険法による給付の請求の手続をしているという場合は「公症として手続中」のものにあたるものではないと合意されたものと解するのが相当である。 右事実からすると、前記医師B、C、Dが被控訴人の症状につき、本件ガス事故の結果の酸素欠乏症に因る後遺症と診断し、これに基づき被控訴人が前記のように労働者災害補償保険による補償給付の請求手続をしていても、被控訴人は、右諒解事項にいう「医師が職業病と診断のうえ公症として手続中の者」に該るとはなし難い。 三 してみれば、控訴人会社が、被控訴人を休職期間満了による自然退職としたことが、労働協約第九七条の諒解事項に反するとして、控訴人会社の従業員たる地位を有することの確認を求める本件申請は、結局その被保全権利につき疎明がないことに帰するので、当事者双方のその余の主張につき判断するまでもなく失当であるので却下すべく、これを認容した原判決は不当であるから取り消す。 |