全 情 報

ID番号 00358
事件名 労働契約関係存在確認等請求事件
いわゆる事件名 日本石油化学事件
争点
事案概要  使用者が逮捕勾留による欠勤を事故欠勤休職とし休職期間満了を理由として退職扱いとしたことにつき、右欠勤は私傷病による欠勤として扱うべきであり休職期間は満了していないとして、労働契約の存在の確認を求めた事例。
参照法条 民法627条
労働基準法2章
体系項目 休職 / 休職の終了・満了
休職 / 事故欠勤休職
裁判年月日 1981年11月26日
裁判所名 横浜地川崎支
裁判形式 判決
事件番号 昭和54年 (ワ) 134 
裁判結果 (控訴)
出典 労経速報1125号8頁
審級関係 控訴審/00362/東京高/昭58. 2.23/昭和56年(ネ)2974号
評釈論文
判決理由  〔休職―休職の終了・満了〕
 被告就業規則七三条一項は労働契約の終了事由について、「次の各号の一に該当するときは、解雇し、または退職させる。
 1 本人が死亡したとき
 2 本人から退職の申出があったとき
 3 休職期間が満了したとき
 4 満五五歳に達したとき
 5 負傷、疾病または老衰のため職務に堪え得ないと認められるとき
 6 第六八条(本判決注 懲戒解雇)を適用されたとき
 7 第五条ただし書き(本判決注 試用期間中の労働契約の解除)を適用されたとき
 8 会社の都合によるとき
 9 労働組合から除名され、会社がこれを認めたとき
 と定めていることが認められるところ、右規定について考えるのに、5ないし9号に定める事由は、いずれも事由の認定または事由の発生自体について被告の裁量の余地があるから、これらの事由に該当するとして労働契約を終了させる場合は社員に対する解雇の意思表示を要するが、1ないし4号に定める事由は、契約当事者の死亡、期間の満了などいずれもそれ自体明確で被告の裁量の余地のない事由の発生にかかるものであるから、各事由が発生すると当然に退職の効力が生じると解するのが相当である。
 〔休職―事故欠勤休職〕
 被告就業規則において「私傷病による欠勤」とは「負傷または疾病による欠勤」のうち「業務上の負傷または疾病による欠勤」以外のものを指し、「事故による欠勤」とは業務に起因しない欠勤のうち「私傷病による欠勤」以外のものを指すと解するのが相当である。原告は、被告の就業規則七〇条に定める休職に至るまでの欠勤期間に、私傷病の場合と事故の場合とで四倍以上の差があることを根拠として、同条に定める「私傷病」は病気、傷害のほかにこれと同様なやむを得ない客観的障害を含むと解すべきであり、逮捕、勾留による欠勤は、右のやむを得ない客観的障害による欠勤として同条の「私傷病」による欠勤に該当する旨主張するが、病気、傷害の場合は、その性質上,一般に、比較的長期の療養期間を要し、同情に値する場合が多いこと、私傷病、事故のいずれの場合でもそれぞれ相当の休職期間がさらに設けられていることを考慮すると、同条において私傷病(原告主張の場合を含まない)による場合と他の事故による場合とで休職に至るまでの欠勤期間に差異を設けたことにも相当の根拠があり、原告主張のように解すべき合理的根拠はない。