ID番号 | : | 00373 |
事件名 | : | 労働契約関係存在確認等請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 京浜精機製作所事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 期間雇用を反復更新されていた従業員が、使用者による契約更新の拒絶に対して、右更新拒絶は解雇権濫用ないし更新拒絶権濫用にあたる等として労働契約関係の存在確認等求めた事例。(請求棄却) |
参照法条 | : | 労働基準法14条 民法629条 |
体系項目 | : | 解雇(民事) / 短期労働契約の更新拒否(雇止め) |
裁判年月日 | : | 1968年8月6日 |
裁判所名 | : | 横浜地川崎支 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和42年 (ワ) 159 |
裁判結果 | : | |
出典 | : | 労働判例56号44頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | そこで先ず、原・被告間の労働契約が原告の主張する如く、期間の定めはあったが、それは形式的なもので、実質的には期間の定めのない契約であったかどうかにつき判断するに、(中 略)。 (1)原告は当初の契約を結ぶに際し、被告会社を代理するA総務課長から「二カ月臨時員として採用するが、その先は全然雇わないというわけではなく、会社に仕事があり、本人に勤める意志と能力があれば勤めてもらう」旨を告げられたことが認められるだけであり、この告知をもって期間の定めを有名無実にする効果があるものとみることはできない。 (中 略) (2)被告会社は一般に臨時員、雇員との契約を更新するかどうかにつき、期間満了の都度、総務課において各所属長の意見を聞いた上、審査して決定していたことが認められ、常に契約の更新を予定していたとはみられない。 (中 略) (3)雇用期間の定めをするかどうかは、本来当事者の自由であって、労働基準法第一四条に定める一年の期間を超えないものである限り、右の定めの効力を否定することはできない。 よって、本件が実質的に期間の定めのない契約である旨の原告の主張は理由がない。 原告は契約の当初から本件契約は特段の事情のない限り更新されることが前提となっていたとか、契約更新が常態化しているもとでは特段の事情のない限り、契約を更新する旨の暗黙の合意が成立していたものとみなすべきであると主張するが、契約更新が前提となっていた事実を認めるに足る証拠はなく、契約更新が常態化しているからといって、原告本人も供述するようにその例外もある以上、それだけで直ちに更新する旨の暗黙の合意があったとは認められないから、被告が契約更新を行なわなかったことが契約の主旨に反し、または当事者の暗黙の合意に反し無効であるとはいえない。 原告は被告が契約更新をなさないのは権利の濫用であると主張するが、特約の存しない限り、更新するかどうかはそれぞれの当事者の一方的に決し得る自由であって、労働者に更新を請求する権利、使用者に更新を拒絶する権利があるわけはないから右特約の存在の認められない本件において、被告が更新をなさなかったからといって、それが直ちに権利(更新拒絶権)の濫用となるいわれはなく、右主張も理由がない。 |