ID番号 | : | 00379 |
事件名 | : | 地位保全等仮処分申請事件 |
いわゆる事件名 | : | 日本郵便逓送事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 新聞広告の募集に応募して採用された運転助手が、試雇臨時者としての待遇で働いていたが解雇を通告されたので、第一次申立として試雇臨時者としての地位保全、第二次申立として短期臨時者としての地位保全および賃金支払の仮処分を申請した事例。(申請一部認容) |
参照法条 | : | 労働基準法21条 民法1条3項 |
体系項目 | : | 解雇(民事) / 解雇事由 / 経歴詐称 解雇(民事) / 短期労働契約の更新拒否(雇止め) |
裁判年月日 | : | 1972年2月15日 |
裁判所名 | : | 神戸地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和46年 (ヨ) 43 |
裁判結果 | : | |
出典 | : | 労経速報773号9頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔解雇―解雇事由―経歴詐称〕 会社は、債権者がA大学に在学中、学生運動に参加していたにもかかわらず、面接試問の際この事実を故意に秘匿し虚偽の申告をした旨主張する。 (中 略) しかしながら、債権者がことさらこれを秘匿したとか、積極的に虚偽の申告をしたとまでは認められないこと、一般に面接試問において労働者の政治的思想信条にかかわる事項を申告する義務があるか否かも、憲法第一九条、労基法第三条等の法意に照らして疑問なしとしないうえ、債権者が短期臨時運転助手という補充労働者的身分を有するにすぎない点を考えあわせると、債権者が、面接試問の際、学生運動の経歴につき若干あやふやな答弁をした事実があったとしても、このことのみをもってただちに解雇することは酷に失し、解雇権の濫用であって許されないというべきである。 〔解雇―短期労働契約の更新拒否(雇止め)〕 右事実と、会社における試雇臨時者は、短期臨時者と異なり、将来正式社員として採用することを前提としたものであるから、その採否を決定する場合、身元調査が一つの重要な要素であることを合わせ考えると、いまだ身元調査が完了していない段階において、前記のとおり試雇臨時者としての待遇を与えて就労させるなど債権者がすでに試雇臨時者として採用されたものと考えるのがもっともと思われるような事実があったとしても、このことからただちに債権者主張の会社が債権者を試雇臨時者として採用する旨の意思表示をしたとの事実を推認することは困難である。 (中 略) 右短期臨時者としての雇用契約は期間の定めのない契約であり、ただ債権者が試雇臨時者として正式採用が決定された場合には当然に解約となるが、試雇臨時者としての不採用が決定されたからといって当然に終了するものではないと解するのが相当である。 |