ID番号 | : | 00390 |
事件名 | : | 雇用契約関係不存在確認請求控訴事件 |
いわゆる事件名 | : | ソニー品川工場事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | パートタイマー制度の廃止に伴う正規従業員への登用試験に不合格となったにもかかわらず、なお雇用の存続を主張する労働者に対して、会社が雇用契約関係不存在の確認を求めた事例。(一審 請求認容、二審 控訴棄却) |
参照法条 | : | 労働基準法21条 民法627条 |
体系項目 | : | 解雇(民事) / 短期労働契約の更新拒否(雇止め) |
裁判年月日 | : | 1978年12月25日 |
裁判所名 | : | 東京高 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和47年 (ネ) 2467 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | 労経速報1006号14頁/労働判例311号16頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | 佐藤時次郎・法と秩序9巻3号41頁/渡辺章・ジュリスト707号253頁 |
判決理由 | : | 被控訴人が男子パートタイマー制度を廃止することとしたのは、主として雇用形態の簡素化と雇用の安定を図るためであって、必ずしも業務の廃止や減少に基づくものではなかったことが認められる。思うに、男子パートタイマー制度を廃止することは、もとより被控訴人がその雇用政策なり人事管理の見地等から自由に決定しうる事柄ではあるが、本件のようにそれが業務の廃止や減少に基づくものではなく、被控訴人の会社経営上の便宜によるものである場合には、被控訴人としては、現に男子パートタイマーとして雇用されている者については、経過的措置として従来の雇用形態を存続させるか、あるいは適切な代償措置(男子パートタイマーが雇用期間を二カ月とする有期雇用者であるという事情を考慮すれば、場合によっては、相当額の一時金の支給もこれに含まれるものと解される。)を講ずる等、その者に不測の不利益を与えることのないよう十分慎重な配慮をなすべきであって、かかる措置を講ずる等のことなく、単に制度を廃止することを決定したということのみでは、いまだ男子パートタイマーとの雇用契約の更新を拒絶し、その契約を終了させてもやむをえないと認められる特段の事情があるものとはいえないことは明らかである。よって、進んで本件において被控訴人が男子パートタイマー制度の廃止にあたり採った措置及びこれに対する控訴人の態度についてみることとする。 4 ところで、前記認定の事実関係からすると、被控訴人は、男子パートタイマー制度を廃止するにあたり、現に男子パートタイマーとして雇用されている者のために中高年正規従業員あるいは嘱託への臨時の登用試験を実施してその合格者を中高年男子正規従業員あるいは嘱託に登用するとともに、受験しなかった者及び不合格者にはその退職に際して一時金を支給するほか、なお本人の希望により雇用期間の若干の延長や、就職のあっせんを行なうこととして、これらの措置を実行したことが認められ、 (中 略) よって考えるに、被控訴人が男子パートタイマー制度の廃止にあたり右に述べたような措置を講ずることとしたのは、これをもって適切な代償措置と認めうるかどうかはともかくとして、被控訴人としては、これにより、現に男子パートタイマーとして雇用されている者が、登用試験に不合格となった者及び受験しなかった者を含めて、被控訴人との間の男子パートタイマー雇用契約を終了させるについて異議なくこれに応ずることを期待したものと認められる。 (中 略) そして、控訴人が格別の異議を留めることなく中高年正規従業員の登用試験に応募し、受験したことは、それが同人において昭和四五年一月一四日の説明会におけるA課長らの説明により被控訴人の前記措置を承知した上で、かつ、これに従ってなされたものであることにかんがみ、右試験に不合格となった場合には本件雇用契約が同年三月一五日かぎりで終了し、かつ、中高年正規従業員としても採用されない結果、被控訴人との間の雇用関係がすべて消滅することとなることをも容認したものであると認めるのが相当である。 |