全 情 報

ID番号 00405
事件名 解雇無効確認請求控訴事件
いわゆる事件名 岡野バルブ製造事件
争点
事案概要  レッドパージに関連して解雇された者が退職届を提出し、退職金、解雇予告等を受領した後、右行為が自由意思に出たものではないとして解雇無効確認を請求した事例。(一審、二審とも労働者敗訴)
参照法条 労働基準法3条,20条
民法93条
体系項目 退職 / 合意解約
裁判年月日 1955年4月27日
裁判所名 福岡高
裁判形式 判決
事件番号 昭和29年 (ネ) 523 
裁判結果
出典 労働民例集6巻3号370頁
審級関係
評釈論文
判決理由  本件折衝に当り、控訴人等がその解雇に関する被控訴会社の妥協案に対し、退職届を提出しないで解雇の効力を争うか、或は右妥協案を承認して雇傭関係を合意で終了せしめるか、そのいずれかを選択する余地は残されていたのであり、控訴人等は、組合執行部の説得もあって、諸般の事情を考慮した結果、不満ながらも解雇反対闘争を断念し、何等の異議を留めることなく、本件退職届を提出し、且つ、退職金等を受領したものであるから、控訴人等の前記主張は採用の限りでない。控訴人等は、控訴人等が本件退職届を提出し、且つ退職金を受領したのは、真に退職しようとする意思に出たものでない、と主張するけれども、前掲控訴人両名各本人尋問の結果右主張に添う部分は、信用し難く、他に右主張を肯定するに足る証拠はない。却って控訴人等が前記被控訴会社の妥協案を承認し、退職金等を受領した経緯並びにその後本訴提起に至るまでの経過からすれば、控訴人等が本件退職届を提出し、且つ、退職金等を受領したのは、その真意に反しないものであり、被控訴会社としても、その真意を疑わなかったればこそ、控訴人等に対し、正規の退職金の外、特別退職金、社長餞別金までも支給したものであると認められるから、民法第九十三条に依拠して、本件雇傭関係の合意による終了の効力を否定しようとする控訴人等の主張は理由がない。