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ID番号 00455
事件名 従業員地位確認請求事件
いわゆる事件名 東京電力事件
争点
事案概要  勤務先会社が新会社に承継再編される前にいわゆるレッド・パージによって解雇された従業員らが、右解雇は憲法二〇条違反、不当労働行為、解雇権濫用にあたり無効であるとして新会社に対して雇用関係の存在確認等求めた事例。(請求棄却)
参照法条 労働基準法3条,2章
体系項目 労働契約(民事) / 労働契約の承継 / 新会社設立
裁判年月日 1970年6月30日
裁判所名 東京地
裁判形式 判決
事件番号 昭和33年 (ワ) 2999 
昭和35年 (ワ) 6950 
裁判結果 (控訴)
出典 タイムズ253号221頁
審級関係 控訴審/東京高/昭49. 6.21/昭和45年(ネ)1961号
評釈論文
判決理由  A会社およびB会社から被告への従業員の引継ぎは右各企業再編成計画書中の「諸契約の承継方法」の項に定めるところに従って行なわれることが予定されていたものと解するのが相当である。
 (中 略)
 A会社およびB会社ともに右「諸契約の承継方法」の項の規定の仕方はほとんど同じであり、(中 略)。
 旧会社たる関配および日発の右のような権利、義務および法律上の地位は、原則として新会社に承継されるものとされ、ただ、例外として旧会社の方で特別の意思表示により留保したものについては承継から除外されるのである。
 (中 略)
 特別の意思表示による留保を認める右規定の趣旨にかんがみれば、これとは逆に承継の対象となるべき権利、義務および法律上の地位を特別の意思表示により特定し、それ以外のものを承継から除外するという形をとることも必ずしも右規定の禁ずるところではないと解される。
 (中 略)
 そこで、以上のような前提に立って、原告らがA会社あるいはB会社から被告への引継ぎの対象とされ、被告の従業員たる地位を取得するに至つたと認められるか否かをみるに(中 略)。
 原告らは全員A会社においてもB会社においても雇用関係が消滅したもの、すなわち、在籍しないものとして取り扱われていた関係上、右両社から被告に引き渡された人事カードあるいは引継従業員名簿には記載されず、被告はもちろんA会社およびB会社においても引継ぎの対象として考えていなかった。
 そうとすれば、(中 略)。
 原告らは、右人事カードあるいは引継従業員名簿に登載されず、したがって、A会社あるいはB会社から被告への引継ぎの対象とされなかったことにより、被告の従業員たる地位を取得しなかったものというほかない。