ID番号 | : | 00462 |
事件名 | : | 解雇無効確認等請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 関西電力事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 過度経済力集中排除法の施行に伴う企業再編成による新電力会社の設立に際し、レッドパージによって解雇された旧発電会社または配電会社の元従業員で、新会社への引き継ぎ社員名簿から除外された者が、新会社の従業員たる地位を有することの確認を求めた事例。(請求棄却) |
参照法条 | : | 労働基準法10条,2章 |
体系項目 | : | 労働契約(民事) / 労働契約の承継 / 新会社設立 |
裁判年月日 | : | 1978年3月8日 |
裁判所名 | : | 大阪地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和51年 (ワ) 2436 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | 労働判例293号14頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 1 原告らは、企業再編成計画とその実施においては、従業員の承継除外は許されず、また本件におけるA会社及びB会社から被告会社への移行は、単に企業主体の変更にすぎず、企業の実体に変更がないのであるから、企業の人的設備ともいうべき従業員も当然に被告会社へ承継されるべきであって、従業員の承継除外を許すときは、この機会に便乗した恣意的な従業員の解雇を認める結果となり、不当である旨主張する。 しかしながら、本件各企業再編成計画書においては、諸契約(これに従業員と雇傭契約も含まれること前記のとおり)の承継に関して承継除外のあることも予定されているところであり、集排法による企業再編成であるが故に従業員の承継除外を許さないと解さなければならない根拠はなく、また、新旧各企業の実体に特段の変更がないからといって、常に必ず全部の従業員までも新企業に移行すべきだと解することも相当でない(原告らも合理的理由ある場合にはこれが認められる趣旨の主張をする。) 2 ただ、旧企業より新企業への移行が企業の実体に変更がないのに、恣意的な従業員の承継除外をなすときは、従業員の恣意的な解雇を認めると同様の結果となり、従業員の地位が不安定となることは原告ら指摘のとおりであるが、本件において、原告らについての承継除外が恣意的になされたと認めるべき資料はなく、むしろ、前認定の事実経過によれば、原告らは、昭和二五年八月中にA会社又はB会社に対して退職届を出したか、解雇されたものであり、その後の同年一一月に再編成令が公布され、翌二六年二月にA会社及びB会社の各企業の再編成計画書が作成提出され、同年三月これが承認され、この各企業再編成計画によって同年五月被告会社が設立されたのであって、右の原告らの退職届あるいは原告らに対する解雇が原告ら主張のように本来無効なものであったとしても、A会社及びB会社はこれを有効なものとして(《証拠略》によれば、原告らの右退職届ないし解雇については、当時の占領軍の指示に基づくものとして、A会社及びB会社側において、その当否はともかく、この指示に従わざるを得ないものと受止めていたものであり、当時の情勢からしてこれも止むをえなかったものと認められる)、原告らが既に従業員でないものとして取扱っていたのであるから、その後における企業再編成計画の作成、その実施にあたり、A会社又はB会社において原告らを従業員として取扱わず、被告会社への引継社員名簿に登載せず、原告らに関する身分についての法律関係はA会社又はB会社において処理することとしたことは、当時においては、特段不合理なものとはいえないところであり、このことは反面、原告らのうちの大部分の者が被告会社設立後においても、その従業員としての身分関係についてはA会社又はB会社を相手として交渉し、ないしは示談等をなしている(このことは当事者間に争いのない被告主張の5の(二)の(1)(2)記載の事実により明らかである)ことからしてもいえるところであり、このような点に鑑みると、本件においてはA会社又はB会社において原告らについて被告会社への承継を除外したことは、恣意的なものであったとは言えないものと考える。 |