ID番号 | : | 00463 |
事件名 | : | 地位確認等請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 中央労済・全労済事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 使用者AがBと組織統合されBの従業員として雇用関係が移転したことにつき、組織統合には法律上の根拠がなく、又雇用関係の移転を承諾したことはないとして、Aに対し雇用契約上の権利を有すること及びBとの間に雇用関係が存在しないことの確認を求めた事例。 |
参照法条 | : | 民法625条1項 商法103条 労働基準法2章 |
体系項目 | : | 労働契約(民事) / 労働契約の承継 / 営業譲渡 |
裁判年月日 | : | 1981年2月24日 |
裁判所名 | : | 横浜地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和54年 (ワ) 229 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | 労働民例集32巻1号91頁/労働判例369号68頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 民法第六二五条第一項は、使用者は、労務者の承諾なき限り、その権利を第三者に譲渡し得ない旨を規定し、雇用契約について、同法第四六六条第一項の例外を定めているところ、本件についても同条の適用があるのか、それとも営業譲渡契約の特殊性からかかる労務者の承諾は不要で、当然に雇用契約上の地位の移転が生じるのかが問題となる。 前記のとおり、右原告らは、被告Y神奈川支所の従業員として、右支所所掌の共済事業及び右支所の運営に従事してきた者であるが、これによれば、右原告らは、一定規模の企業活動を営む被告Yの企業組織の中に有機的に組み入れられ、組織づけられた一員たる地位にあったものと考えるのが相当である。 ところで、営業譲渡とは、一般にかかる有機的一体をなした企業そのものの譲渡に他ならず、本件もまたその一場合であると解されるところ、このような場合、右原告らと企業そのものとの一体性に鑑み、右原告らの雇用契約関係も当然に被告中央労済から被告全労済に譲渡されたものと考えるのが相当である(もとより、営業譲渡に際し、雇用契約関係が当然に承継される旨を定めた一般的規定は存しないが、船員法第四三条が、船舶所有者の変更(相続等包括承継を除く。)があったときは、船員の雇用契約は当然に終了し、この終了の時から船員と新所有者との間に従前と同一条件の雇入契約が存するものとみなされる旨の規定をおいていることも本件の解決につき示唆を与えるものであるし、また、商法第一〇三条が、企業組織の変更を伴わない会社の吸収合併、新設合併の場合、存続又は新設の会社は、合併によって消滅した会社の権利義務を当然承継する旨の規定をおいて、労働者の地位の当然移転を定めているのも企業組織の変更を伴わない企業主体の変更の一場合である本件事案の解決につき、一つの根拠を与えるものと考えられる。)。 |