ID番号 | : | 00465 |
事件名 | : | 退職金請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 久我山病院事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 被告を退職した従業員が就業規則の退職金規程に基づき退職金を請求した事例。(請求認容) |
参照法条 | : | 労働基準法23条1項 |
体系項目 | : | 労働契約(民事) / 金品の返還 賃金(民事) / 退職金 / 退職金請求権および支給規程の解釈・計算 |
裁判年月日 | : | 1960年6月13日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和34年 (ワ) 2107 |
裁判結果 | : | |
出典 | : | 労働民例集11巻3号628頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | 法律時報375号97頁 |
判決理由 | : | 〔労働契約―金品の返還〕 退職金について使用者が就業規則中に規定を設けて、あらかじめその支給条件を明確にし、その支払が使用者の義務とされている場合には、退職金は賃金の一種に属するものとみるべきであり、従って労働者が退職した場合における賃金の支払の確保を図ろうとする労働基準法第二十三条の関係部分の規定はかかる退職金の支払について適用されるべきものというべきである。しかしながら同条第一項前段は、使用者の負担する賃金債務ですでに履行期の到来したものについて、権利者から請求があったときにおいて七日以内にその支払をしなければならないことを規定したものであることが明らかであるところ、被告の就業規則第六十四条の規定は、被告の義務にかかる退職金の支払期日自体について定めをしたものとみるべきであるから、労働基準法第二十三条第一項に反するものでもないし、又もとより公序良俗に反するものともいえないので、これを無効とするいわれはないのである。 〔賃金―退職金―退職金請求権および支給規程の解釈・計算〕 被告の就業規則第六十四条において「退職金は発令後六ケ月以内の期間に支払う。但し情況により変更することができる。」旨規定されていることは、当事者間に争いがないところ、右但書は、本文において定められているところに従って退職金の支払をなし得ないことが相当であると認められる情況のある場合に限り、当該退職者に対する被告の一方的意思表示によって本文所定の支払期間を変更することができることを規定したものと解するのが相当である。 |