ID番号 | : | 00489 |
事件名 | : | 戒告処分取消請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 向日町郵便局事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 「職員は、一、組合の大会会議等に出席する場合、二、その他組合の業務を行う場合、予め組休付与願いを提出して所属長の許可を受けたときは、勤務中であっても組合活動を行うことができる。」という就業規則上の規定に基づく組合休暇を認められなかったにもかかわらず、全逓の地方本部青年部常任委員会に出席のために欠勤した郵政省職員になされた戒告処分の取消が求められた事例。 |
参照法条 | : | 公共企業体等労働関係法8条 労働組合法16条 労働基準法89条 |
体系項目 | : | 休職 / 組合休暇 |
裁判年月日 | : | 1977年10月13日 |
裁判所名 | : | 最高一小 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和52年 (行ツ) 16 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | 訟務月報23巻10号1777頁 |
審級関係 | : | 控訴審/03456/大阪高/昭51.10.21/昭和49年(行コ)12号 |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 公務員に対する年次休暇は、非現業、現業(労基法三九条三項)を問わず、それが法津によって公務員に付与された権利的制度であるにもかかわらず、「業務支障」の要件につき右のように緩やかに解されているのに対し、労働者個人の勤務実績その他の属性とは全く無関係に、組合活動と職務との調整を目的とする一つの便法として編み出された便宜供与の一種に属する組合休暇の許可条件である業務支障の有無の基準について、右法律上の制度である年次有給休暇における要件よりも使用者側に不利益な要件を課するのは、著しく常識に反するものといわざるを得ない。 殊に、郵政事業は、極めて公共性、公益性の高い事業であり、その正常な運行が強く要請されているところであるから、その正常な運営を確保する責務を有している郵政当局が組合休暇について原判決の認定するようないわば自己拘束的な基準を設定するということはあり得ないところであり、また、原判決の認定するような基準は組合休暇の便宜供与としての法的性格とは相いれないものというべきである。 (中 略) 被上告人の欠務によって生じた業務支障については原判決の認定によって明らかなとおり、被上告人が担当していた二月の簡易生命保険の月間集金予定額は一三一万七、〇〇〇円、要徴収原簿冊数は八四二冊であったが、これに対する集金月計は一一〇万八、七九五円で、差引き二〇万八、二〇五円の未収金を生じ、その集金率は八割四分一厘にしか達せず(原判決二二丁表一〇行目から裏二行目まで)、業務運行工程上支障を与えたのみならず、これを向日町郵便局貯金保険課全体から見れば、同局全体の二月中の未収金合計は五二万九、二六七円であり、その集金率は九割六分一厘であるのに対し、被上告人の集金率は同局全体のそれより一割二分低く、被上告人の欠務の結果、局全体の集金率は一審判決で認定されている従来の実績である月九割七分の集金率(一審判決書二一丁表一二行目)に比べて劣るという業務支障が招来されたのである。 3 本件戒告処分の適法性 以上のとおり、被上告人の本件組合休暇付与願を業務支障を理由に不許可として処分が違法なものであるということはできず、組合休暇を付与されないで欠勤しようとしている被上告人に対し発せられた上告人の出勤命令は適法であって、これに従わず欠勤した被上告人の行為を公務員たる義務を怠ったとしてなされた本件戒告処分は適法である。 |