ID番号 | : | 00500 |
事件名 | : | 地位保全等仮処分命令申請事件 |
いわゆる事件名 | : | 平和産業事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 路上教習の指導中、追突事故のためむちうち症を負った自動車学校の技能指導員が、通院加療を継続中に、欠勤過多等を理由として、懲戒解雇されたので、従業員としての地位保全、賃金仮払の仮処分を申請した事例。(申請認容) |
参照法条 | : | 労働基準法19条 |
体系項目 | : | 解雇(民事) / 解雇制限(労基法19条) / 解雇制限と業務上・外 |
裁判年月日 | : | 1972年8月21日 |
裁判所名 | : | 神戸地 |
裁判形式 | : | 決定 |
事件番号 | : | 昭和47年 (ヨ) 311 |
裁判結果 | : | 認容(申請取下) |
出典 | : | 時報694号113頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 労働基準法一九条一項は、その本文において、使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のため休業する期間及びその後三〇日間は、解雇してはならない旨定めているが、そこにいう業務上の負傷又は疾病とは、労働者が使用者の指揮命令下にある労働状態の際に、その労働状態に附随して惹起された負傷又は疾病をいい、休業とは、労働者が業務上の傷病を理由にそれが回復しない間に解雇されると新たな職場を見つけることが極めて困難であって労働者の生活を脅やかすことを考えると、必ずしも傷病後解雇にいたるまで全部休業することは必要ではなく、一部休業でも足りるというべきであり、又、同条の解雇制限は、同条が同法二〇条一項但書と異り、「労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合」を除外していないから、通常解雇のみならず懲戒解雇をなす場合にもその適用があるというべきである。 (中 略) してみると、本件の場合、債権者の負った傷害は、業務上の傷病であって、追突事故後の休業はいずれもその傷病に起因することが一応認められるうえ、会社のなした懲戒解雇の意思表示は、業務上の傷病の療養のためにする休業後三〇日間内になされたものであることが明らかであるから、その意思表示は労働基準法一九条一項本文に違反して無効というべきである。 |