全 情 報

ID番号 00508
事件名 仮処分抗告申立事件
いわゆる事件名 大林組事件
争点
事案概要  解雇の意思表示の効力の停止を求める仮処分申請が却下されたため右決定の取消を求める抗告が申立られた事例で、労働基準法二〇条所定の解雇の予告または予告手当の支払が解雇の効力の発生要件が否かが争われた。(抗告却下)
参照法条 労働基準法20条1項
体系項目 解雇(民事) / 解雇の承認・失効
解雇(民事) / 労基法20条違反の解雇の効力
裁判年月日 1951年1月29日
裁判所名 東京高
裁判形式 決定
事件番号 昭和25年 (ラ) 67 
裁判結果
出典 労働民例集2巻3号362頁
審級関係
評釈論文
判決理由  〔解雇―労基法20条違反の解雇の効力〕
 案ずるに(一)労働基準法第二十条第一項本文には「使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない使用者は三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。」と規定されているのであるから予告または予告手当を欠く解雇の意思表示はその効力を生じないものと解すべきであるけれども、本件解雇の意思表示(疏甲第十号証)においては相手方の主張の全趣旨に徴するも予告手当の支払を回避したものではなく、その意思表示が到達するのに数日を要しまた支払金の準備に数日を要する関係から現実に予告手当支払の期日を特に指定して通告したことの疏明が得られるから右解雇の意思表示は予告手当の提供がなされたときその効力を生ぜしめることを目的としたものであってこのような解雇の意思表示は労働基準法の右規定に牴触しないものと解するのが相当であり、而して抗告人が予告手当の提供を受け、これを受領したことは後記認定の如くである。従って右解雇の意思表示が右規定に違背し無効であるとする抗告人等の主張は理由がない。
 〔解雇―解雇の承認・失効〕
 相手方会社においては方策の実行を徒らに遷延することを許されない事情にあったので昭和二十四年十月中前記のように抗告人等及びその他の従業員に対し解雇の通知をなしたところ、その後抗告人等は同月中に、相手方会社に退職願を提出し相手方会社から提供を受けた予告手当を受領したことの疏明が得られる。(中 略)従って相手方会社と抗告人等間の雇傭関係は合意上こゝに終了するに至ったものと認むべきである。