ID番号 | : | 00532 |
事件名 | : | 地位保全仮処分申請事件 |
いわゆる事件名 | : | 読売新聞中里出張所事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 勤務成績不良、無届デモに関連する逮捕等を理由として懲戒解雇された新聞配達員が、従業員としての地位保全、賃金仮払の仮処分を申請した事例。(申請一部認容) |
参照法条 | : | 労働基準法20条,89条1項9号 |
体系項目 | : | 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 職務懈怠・欠勤 解雇(民事) / 労基法20条違反の解雇の効力 |
裁判年月日 | : | 1972年10月20日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和45年 (ヨ) 2440 |
裁判結果 | : | 一部認容 |
出典 | : | 労働判例163号53頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔懲戒・懲戒解雇―懲戒事由―職務懈怠・欠勤〕 昭和四四年春ごろから債権者はじめ配達員の労働条件向上の要求がいろいろ債務者に対し出されるようになり、それと並行して債権者の勤務態度にも変化がみられるようになったこと、とりわけ、そのなすべき拡張および広告折込みの業務については、若干勤勉さを欠くと評価されてもいたし方のないような風情が散見されるようになってきたことがうかがえるけれども、それらのことは、ひとり債権者のみのことではなく、債権者の同僚である配達員とりわけ債権者ら新聞奨学生達の間における共通の傾向であったばかりでなく、右の勤勉さを欠く程度が債務者主張のように懲戒解雇をもってのぞまなければならなかった程のものとはとうてい認め難く、また、債権者が昭和四五年六月一七日に王子警察署に逮捕されたことは当事者間に争いないところであるけれどもたとえ右の逮捕に伴う必然的結果として同日夕刊およびそれ以降の新聞配達を債権者において行ないえない状態になったとしても、これをもって直ちに債権者の責に帰すべき理由によるものと即断するのは性急に失するというほかないところ(証拠略)も右の点を首肯させるに足りず、他に右の点を疎明できる資料は存しない。また、以上の点を総合しかつ本件の全疎明をあわせ検討してみても、本件懲戒解雇については債務者主張のようなこれに価する程度の事実が存在したことを肯認することができない。 〔解雇―労基法二〇条違反の解雇の効力〕 債務者の主張する昭和四七年八月四日付の解雇について判断する。 前出の各疎明および弁論の全趣旨によれば、債務者が昭和四七年六月以前に債務超過経営不振のためその事業をすべて廃止してしまったことが明らかであるところ、それが債権者主張のように仮装のものであると認めるべき疎明はない。そして弁論の全趣旨によれば債務者は右の解雇についていわゆる即時解雇を固執する趣旨ではないことがうかがわれるので債務者の右解雇の意思表示については、それが債権者に到達したことを債権者において明らかに争わない右八月四日から三〇日を経過した同年九月二日の経過をもって解雇の効力を生ずるにいたったものと解される。 |