ID番号 |
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00543 |
事件名 |
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仮処分申請事件 |
いわゆる事件名 |
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日本曹達事件 |
争点 |
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事案概要 |
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解雇予告手当の支払方法につき、被解雇者の住所に於て現実に弁済の提供をしていないことが、労働基準法二〇条違反の解雇にあたるか否について、これを否定した事例。 |
参照法条 |
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労働基準法20条 |
体系項目 |
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解雇(民事) / 解雇予告手当 / 解雇予告手当の支払方法 |
裁判年月日 |
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1950年8月10日 |
裁判所名 |
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新潟地高田支 |
裁判形式 |
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判決 |
事件番号 |
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昭和25年 (ヨ) 9 |
裁判結果 |
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出典 |
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労働民例集1巻5号835頁 |
審級関係 |
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評釈論文 |
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判決理由 |
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惟うに労働基準法第二十条は被解雇者をして突然賃金の収入を失わしめることなく予め解雇を予告させ予告期間に相当する賃金を獲得させるか又は予告なくとも経済上これと同一視すべき収入を確保させることを目的とする取締規定である、そして予告のない解雇に於ては所定の賃金債権を発生させると共に特にこれが弁済の確保を要求しているものと解すべきではあるがそれ以上に解雇者に無用に繁雑な手続を要求しているものとなすべきではない、従って右賃金債権たる予告手当は期限の定めのない債権として即時履行期に在るものと見るべきであるから解雇の意思表示をなすに当り請求あれば即時支払に応じ遅滞に陥らない程度の客観的の金員の準備と主観的の意思があることをも合せ表示すれば同法条の目的とする被解雇者の保護に欠くるところがないから更に進んで解雇の意思表示と同時に各被解雇者の住所に於て現実に弁済の提供をなすこと迄も要するものと解すべきではない、社員就業規則第七十一条の律意も畢竟労働基準法第二十条の法意とその軌を一にするものでその異るところは予告期間及び予告手当の各数額だけであると解釈するを相当とする、なお本件解雇当時会社と組合との関係を律すべき労働協約が現存しなかったことにつきては、前段第二の(一)の説明により了解し得る、本件解雇により会社が三箇月の予告手当につき現実に資金の準備をして現実に弁済の提供したこと(尤も六十日分については当初資金準備をなさなかったがその後直にこの分についても資金準備をしてその旨通告したのでこの時を以て有効な弁済提供と見るを相当とする)前記のとおりであるから本件解雇を以て労働基準法第二十条に違反する主張亦採り難い。 |